−第7回 マスターズ・チャレンジ・カップ−
(01/05/19/at Higashi-Fushimi Ice Arena)

元気と勇気が湧いてくる、“日本一ロマンティックな大会”


05/19

今年もやってきました、マスターズ・チャレンジ・カップ。
元気をもらいに、東伏見まで。

駅傍のコンビニでお茶など調達してたら、待ち合わせているけいこさんから電話。
「今ついたんだけど何処にいるの?」
ふと見ると、店前の公衆電話に、それらしき姿が……。「ここ」。すぐ後ろ。
大爆笑から、一日が始まった。

今年は出場者が一気に90人以上ということで、スタート時刻も昨年より一時間早い。
知人も何人かデビューする。ちょっと気合が入る。
知人・友人、何人かと会い、話をしながら席を決めて。
椅子の下に買って来た花束を置いて、観戦体制に入る(いろいろ着膨れる、コト/笑)。

ファンファーレが鳴って競技開始。
オープニングを飾るのは、今は珍しいコンパルソリー競技。
A、Bとクラスもふたつあるのに、今年はエントリーはただ一人だけだった。
昨年から連続、S島さんの「挑戦」である。
(「挑戦」の発端は、武史くんのインタビューでの言葉だったとか)

名前を呼ばれて中央に出る、こちらも名前を呼んで声援。
昨年のような、息詰まるような苦しい静寂を、今年はさほどは感じないのは私が慣れたせいなのか、それとも本当に空気が違っていたのか。
演技者は私ではなく、氷上に立っているその人なのだけど。

緊張感の高まる中、氷上に描かれるサークルエイト。
フィギュアのスタート地点、昔はこれが重要なポイントを占めていたんだよね。
昨年より、確かにきれいに描かれた8の字、これが「挑戦」と「結果」。

得点が出て、拍手が起きる。
笑顔で手を振って。こんなに、一年って違うんだ。

Bクラスへの出場者は居ないので、そのままコンパルソリー・ダンスの競技へと移る。
客席にやってきたSさんに、小さな花束を渡して。「お疲れさまでした」。
まだまだ始まったばかり。

コンパルソリー・ダンスのCクラスはキャナスタタンゴとウィローワルツ。Dクラスはスターライトワルツとタンゴ。
昨年も拝見した、お馴染みの方の姿を観ると、嬉しくなる。
いいなぁ〜、こうやってまた一緒に大会に出て、年輪を重ねて……。なんだかな、そんな感慨に陥ってしまいそうな。

女性同士のカップルもある。
やはり、男性でアイスダンスをやろう、という人はなかなか居ないのだろうか。

ところで実は、プログラムを見ると、このC・Dクラスとも、エントリーに「田中衆史」のお名前が。
え、この田中くんって、あの田中くんだよね!?(長野五輪に、河合彩ちゃんと組んで出ていた、プリンスアイスワールドにも出てる)
うわぁ、と期待していたら残念なことに棄権だそうで……。
他にも棄権のカップルがいて、それまた残念だった。

ところで、このクラスのハイライト。けいこさんとも口を揃えたのが、大木夫妻の“しっか!”と握られた手。
素敵でした。

続いてEクラス、アイスダンス・フリーの競技へ。
毎回ドラマティックな音楽を選ぶ石井・磯田カップルは『椿姫』。
嶋内・渋谷カップルは、お馴染み『I wonder』。

頭の中で、自分で勝手に自分も滑ってる風なことを、どこかでぽちっと考えている。
振り付けは当然でたらめで(^^;。
ダンスや芝居を見るときの自分のしょーもない癖が、こんなところに出てくるとは、慣れてきた証拠なんだろうか。

続いて、シングル競技へ。
60代以上の部には、今年は森咲子さんお一人の出場。
ピンクと黒のコスチューム、白いタイツで『コッペリアのワルツ』。

力強く、そして可愛らしく、ああ何処までいっても恋はして良いのだと。
気恥ずかしくなるような台詞がつと口をついて出てしまうような。フィギュアスケートに対する恋。
それは、去年も思ったこと。

うをぁ、どうしちゃったんだろう、今日は。
なんだってこの時点でこんな感傷的になっているのか。始まったばかりなんだから、これから友達も出るんだから、しっかり観て応援しないと!

10歳刻みの年齢別に、競技は進む。
50代、40代でもここまで滑って跳んで。
大会出場は初めて、という方もいらっしゃる。足元がぐらついても、転んでも。
みんな、フィギュアが好きで、憧れて。


『古事記』を使った方が居た。
なんだか胸が痛い。

わかってるんだけど、どうしても胸が疼くのがRootersというもの。苦さと甘さが直結している曲だから。
ごめんなさい、許してください。


30代男子は大激戦!
間違いなく、本日最も熱かったシーン。

ウォーミングアップから結構なスピードで錯綜していて、なかなか迫力ものなのだ。
飛び交う声援も多い。
そして、個性派揃いのグループである。

トップの佐藤広樹さんが『BIO HAZARD 2』で滑れば、続く水民潤さんは『アラビアのロレンス』。
水民さん、実に10年ぶりの試合復帰だそうで、“1つでもトリプルジャンプを”とプログラムに書いていたとおり、見事にファーストジャンプでトリプルトゥを成功!
客席が瞬時に沸騰する。

吉田雅彦さんはきりりと歯切れの良いタンゴ、続いて木谷茂さんの登場!

何故に最初のポーズをとったところで笑いが起きるのでしょう?
絶妙な間、の為だと思うのだけれど。静止ポーズなのに“間”。なんかヘン? でもそうとしか思えない。
そしていきなり流れ出すは『キューピー3分間クッキング』―――!

片腕をまないたに見立て、包丁で刻むしぐさをしてから走り出す。
音と動きがぴったり合ってるところがまた可笑しい。
音楽が変わり、お馴染みのステップやら逆回転ジャンプやら、氷上ムーンウォークもどきまで(^o^)。
先刻、整氷中に暖をとろうと外へ出たら、メモを片手に振り付けつくってらしたんですよね(^^;

やはり木谷さんは、マスターズのスターである。と思う。

続く清水賢至さんは、実に流れるようなスケートを観せてくれた。
両腕、身体の流れに表情がたっぷりあって、音楽がBGMにとどまっていない。
こういうの、とても好き。

そして本日デビュー、さうらさん。
真っ赤なつやつやパンツに靴カバーも赤、上は黒いTシャツで、背中にちょこんと天使の羽根のプリント。
音楽は『ファウスト』!(だから天使の羽根なのね〜。ん、それともアクマ、か?)

スタート、関徳武くんの同プログラムとおんなじポーズ。
そして2分40秒間、まさに「エエとこ取り」の構成で、泣きそうに笑ってしまった。
(いや、笑うプログラムじゃないんだけど(^^;。そのステップは、そのポーズは全日本表彰台組のT.H.くん、Y.T.くん、N.S.くん………あ、あはは、あはあは)。

ご本人はかなり緊張していた様子、やはり試合で本番で皆が見ている前で、たったひとりリンクに立つというのはどんなにか、としみじみ思ったことだった。

野尻和宏さんは全身黒で、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』のテーマ曲。
もちろんカンフー仕様の振り付けでかっこいいっす。
ラストを飾った稲葉規泰さんは、クラシックで正統派の雰囲気。

あー、ほんとにこのクラスは面白い!
残念なことに、このあたりでけいこさんはお家へ帰らなければならなかった。
お子さんたちが夕ご飯を待っているものね。素敵なお母さん(^^)。

客席に戻ってきたさうらさんに、花束を渡す。
んー、衣装が赤黒ってわかっていたら、色合わせてみたのになー。

さて、男子20代のクラスもなかなか。
山田哲也くんはミンクスの『ドン・キホーテ』で本格的なプログラム。
(私情:使っていたパートが全然違う部分だったので、こちらも心穏やか/苦笑)

“爆笑大王^^;”北西慶一さんは『新平家物語』。
跪いて、鳴り響く琴の音の中、その楽器をわんわんとかき鳴らす体現、そこから滑ってジャンプ! ……………………あれ???

音楽が、消えてしまいました……。
機器の調子が良くないとかで、「テストをします」のアナウンス。
そんなぁ〜。このプログラムは、最初のお琴のかき鳴らし! てのがひとつのインパクトでしょうに、それをもう一回やり直すん?

もったいないーとか思ってると、テストとして何やらふわーーっとした曲が流れる、つと、それに合わせて両手をふわーっと広げて滑っちゃったりして、嗚呼これが場数と余裕というものでしょうか!

だってね、突然自分の曲が途切れて、間があいちゃって、全然違う曲が流れて。
そこで、ああやって観客を楽しませるみたいにちょこっと滑ってみせるんだもの。

すごいなー。なんか。
ある種、お客の意識を惹いておいてだらけさせない、っていう、ショーの基本的な掴み、のようなもの。ショーに疎い日本選手、この感覚を学ぼう! なんちゃって。

無事音響が直って、スケジュールは進む。
高橋貴則さんは、お馴染みの『Samson te Dalila』。これを滑っているときの貴則さんは静謐でかっこいい。
そして栗原裕次さんの『春の祭典』で、締め。

あ、やっぱり男子のシングル演技って、大好きだ。
何故? って聞かないで。説明なんてできない。

20代女子のクラスでは、知人がふたり、デビューする。
客席から声援を飛ばす。
およそ一年前くらいから始めた、という彼女たちが、こうして大会に出場している、ってなんだか不思議な感慨がある。

ちょっとね、たまんない。
ちっちゃい子の初めての大会、っていうのとまた、全然違う思いがある。
なぁんか100のうちの7%くらい、「自分もあそこに立ってみたい」ってな感まで <をぃ
自分の氷上での無様さは、客観的にこれでもかと言うほど思い知っているんだけど……ネ(^^;。

競技会復帰の永桶紘子さんに息を飲む。美しい……。




全日程終了後、数名で連れ立って、高田馬場まで出る。
夕御飯食べましょう、が何故か飲み屋になったのは、断じて私のせいじゃない!!(笑)

客席で見守っていたその面々といえば、はーこさん、tamakoさん、アツさん、RITSUさん、せいいちさんという、なんて素敵なメンバー(^o^)。
皆さん、独自の視点でweb siteを運営している方々ばかり。

スタンスもベクトルも違う個々の集まり、ほんっとに楽しゅうございました!
話は50センチ脇の視点から地球の裏側まで飛ぶわ、ちゃんとそれについていけるわ。<どういうことよ。そういうこと(笑)。

結論、「マスターズは楽しい! スケートは楽しい!」ということ。

ふと浮かぶ純粋な妄想(笑)を、すっぽりくるんで流してしまうほど鷹揚なマスターズ・チャレンジ・カップは、きっと来年もこれからも、ずっとずっとフィギュアに恋した人たちを抱き締めてくるんでいくのだろうな、と。
そんなことを思いつつ、今日もらったあったかい勇気と元気を思い起こして。
よいしょっ、と自分に気合を入れる。



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