(07/08/18〜19/at Shin-Yokohama Prince Hotel Skate Center) |
08/18〜19 今年も開催、と聞いたときには小躍りしてはしゃぎましたよフレンズ・オン・アイス。 冠としての静香ちゃんの名前がはずれ、昨年とはまた違った趣きで、非常に楽しみにしてました。 先にチャンピオンズ・オン・アイスやプリンス・アイスワールドが決定していたので、席種は若干控えめで…(笑)。まあその、新横浜だし。 そしてやっぱり、このショーは特別だもの! おめでたい話も重なって、うきうきわくわくの新横詣でとなりました! 全4回公演、コンプリートしましたが(笑)特に回を分けずに全体のレポートでいってみます。ちなみに、席は初回を除いて全てスタンドSSでした。 入り口の階段を上がっていくと、まずお花が。 静香ちゃん宛てのもの、岳斗くん宛ての黒猫組さんのものと並んで「Rooters of Takeshi 一同」のスタンド花が、チケットを切る入り口前に飾られていた。 この三台を並べたところが素晴らしい! 「あの時代」ファンにはたまらない感慨があります。しばし眺めて静かな感動を覚える。 二日目には静香ちゃん宛てのが前面に押し出されており、武史くんのも岳斗くんのも、奥に引っ込められてしまいました。う〜ん残念…。いい絵だったのになぁ。 フレンズ・オン・アイスやでぇ〜。もちょっと意味を考えてくれてもええのにな(^^; 公式グッズにプログラム。Tシャツの入ってた缶、何に使おうか(笑)。 しかしプログラムの武史くんの写真……なんでこんな(汗)。いや、いつドコからどう撮られたものを使われてもOKな状態にしておかないアナタが悪い。でも選んだ人もヒドイっ(^_^; 中に入ると途端にひんやり。さすが新横は寒い。 ★オープニング 音楽はBondの『VIVA!』。明子ちゃんを先頭に、スケーターが次々と登場。 初日はトリプルジャンプ〜バタフライだった武史くん、二日目は連続バレエジャンプに(トリプル失敗気味だったからか^^;)。 武史くんのバレエジャンプ久しぶり〜。高くて脚がスパッと開いて、かっこいいんだ! 全員揃ってリンクを回るところでじわじわ高揚感が増してきて、うわーーって気分に。 フォーメーションを変えて四方にお辞儀をするのだけれど、大輔くんが一番走らされる位置にいて、必死に走って急停止して方向転換と、見ていてすごく可笑しかった。ガンバレ若人〜。 (このメンバーに入ったら一番年下だもんね。弟くんのポジションは久しぶりなんじゃじゃないかなー) ☆鈴木明子/『タイタニック』 今季のフリープログラム、そのダイジェスト版。 衣装がブルー系で、曲構成が似ている為もあってか、ところどころで静香ちゃんがこの曲を滑ってた姿を重ね合わせて思い出してしまった。 初回はジャンプもよく決まっていたのだけれど、二回目だったかで転んでしまった後、ジャンプの精度が落ちたのが少し気になって。傷めたんじゃないといいけど。 それにしてもあっこちゃん、よく復活してきたなぁ。嬉しい。 彼女の演技を観ていると、ああ旧採点で育ってきた子だな、と、なんだかホッとするんですよ。曲想をとても大切にして滑っているというか…。今季の試合がすごく楽しみ。 ☆井上怜奈&ジョン・ボルドウィン/『Mandy』 演技の前に、スケーター自身の声で録音された挨拶が流れるのだけれど、最初レナちゃんの声があまりに可愛くてビックリ。一瞬誰だかわからなかった。 二人の優しさやお互いを尊重する気持ちが伝わるといい、というようなことを言っていましたが、ホント、見ていて「ラブ」を感じました。 ☆恩田美栄/『I Will Follow Him』 恩ちゃんが自分でつくったという新プログラム。「面白いところもつまらないところもありますが…」「自分のキャラを活かして…」という挨拶が、なんとも恩ちゃんらしい表現で(笑)。 修道院のシスター風の、長ーいドレスに頭巾(?)まで! 前半は厳かに、後半は頭巾を取って軽快に元気よく! スカートの裾が足首近くまであるのに、それでジャンプまで跳んじゃったり、さすが恩ちゃん! ラストのスピンで、スカートのシルエットがキレイに広がって面白い効果になっていました。 ☆本田武史/『ゴッドファーザー 愛のテーマ』 待ってましたっ。 しかし録音された挨拶が、あまりにアッサリしていて「武史くんだあ〜」と脱力(笑)。ま、良き哉良き哉。 すっかり耳に馴染んだスカ版ゴッドファーザー。 初披露の頃から比べて、観客へのアピールも随分堂に入ってきて何をやってもかっこいいったらありゃしない(ファンですから〜)。 顔の前まで脚が上がるハイキックが好き! そして千秋楽、私たちは東側スタンドだったのだけれど、視線前方SA席中央には岳斗組な皆さんが座っておられ、な、投げちゅーが、投げちゅーが思いっきりそちらへ………。 「あー!」とも「ぎゃーー!!」ともつかない叫びを胸の内に発し、ハンカチを噛み締める武史組でありました…。え、声外に出てた?(^_^; 演技を終了し、武史くんが四方にお辞儀をしていると、場内に再び流れるゴッドファーザーのイントロ。 「何、何なの?」と不思議がる(フリをする)武史くん。 大仰な振りで現れたのは、振り付けをした宮本賢二くん! 無造作にジャケットを脱ぎ捨てるところで、ちょこなんと正座していそいそと上着を畳み始める姿に爆笑。 この関西人め! ここでマイクを渡されて、武史くんと賢ちゃんの掛け合い漫才トークの始まり。 内容は毎回ちょっとずつ違ってて、楽しいの何のって。 「何突然出てきてるんすか〜」「振り付け、最初のとこ違ってない?」「んなことないっすよ」「こんな風にわけわからんくらい踊らないと」「や、おかしくね?」「昨日必死にフライングシット練習したから」「今日はドーナツスピンやりたかったんだけど」「届いてない」「身体固いんじゃない?」「いや、脇の、お肉?」「誰が太ったんだよっ(げっそれは…)」「俺、現役の頃から殆ど変わってないから(そこで腹をさするな!)」「ま、お互いにな!!」 や、やめてくれ今からメタボキャラになるのは! 自覚があるならなんとかしてくれー(いやマジで^^;) ステップが合ってるかどうか確かめさせて、とか、だったら一緒にやりましょ? とか、とにかくそんなんで二人並んで、ラストのストレートラインステップを! なんというハイスピードの競演!! 迫力、華麗、ダイナミック、毎回このシーンはゾクゾクしてたまりませんでした。 フライングシットスピンからフィニッシュまで、要所要所のユニゾンがさすがに決まること(ラストの手の振り付け、きっちり確認しなおしたっぽいね^^)。 客席も沸く沸く。ここは一度正面から観てみたかったよ! ステップ競演の後、背中合わせになってくるくる〜と回りながら客席に向かって手を振り、仲良く肩を組んで帰るかと思いきや、いきなり武史くんを突き飛ばして逃げる賢ちゃん……こんのーっ(笑)。 すっごく楽しかったのだけれど、気になることがひとつ。 武史くんのジャンプが、なかなか戻ってこないんだよね……。軸がぶれてて、見ていて怖い。 自分の練習時間はなかなかとれないのだろうけれど、あのキレキレのダイナミックなジャンプをまた見たいんだ。 だから千秋楽でトリプルアクセルを踏み切った瞬間には「やったっ!」と思わず声に出してしまって(最後の全日本の解説じゅんじゅんみたいな)。 残念ながらランディングには失敗してしまったけれど、きっと本人も跳びたい気持ちはあるはず。頑張って戻してきてほしい! でも怪我はしないでね。ファンは勝手だなぁ…はは……。 ☆中野友加里/『Ritornare』 PIWでも滑っていたプログラム。これ、好き。DOIで観た白鳥より好きだな。キリッとしてて。 千秋楽、もしかしてトリプルアクセル跳んでた!? そんなこと考えもしなかったから目を凝らしてもいなかったんだけど、ダブルとは全然回転が違ったような気がする。 ひえ〜ゆかりちゃーん。 ☆田村岳斗/『ネッスンドルマ』 うわ! こうきたか。まさにフレンズ・オン・アイスならではの素晴らしい選曲です。 衣装は確か『月光』のもので……なんだか随分身体が細くなったような気がする〜。 元々細身のスケーターだったけど。あああのその、武史くんと足して2で割りません?(^^; 岳斗くんのスケートを観るの、本当に久しぶり。とても岳斗くんらしいプログラムで……じーん。 こう言うのも変だけど、ジャンプの跳び方など、選手時代より上手くなったように感じるよ。生徒さんに教えるのに、客観的に見て自分で確認できる人なのだろうかな。 た、たけしくんがんばぁ〜。 ☆荒川静香/『If I Had My Way』 おー、懐かしい。 ワールド優勝したときのエキシビション……だけど、実はあんまり私の中では印象強くなかったので、改めて確認、という感じ。 とてもシンプルで……ある意味、新鮮。 滑り終わった後、マイクを持って息を整えながらの生お喋り。 有香さんにつくってもらったプログラムであること、敢えて当時のままの構成で滑ったけれど、思ったよりジャンプが多くて大変だったこと、持っているスピンやスパイラルのバリエーションがまだ少なかったこと。憧れの有香さんに「雰囲気が似ている」と言われて、すごく嬉しかったこと…。 そしてそのまま、「次は、佐藤有香さんに滑っていただきます」 ☆佐藤有香/『 』 (曲名が未だ定かではないのですが……) 久しぶりに観る有香ちゃんのスケート、素晴らしいのひとこと。 なんであんなに滑らかなの!? 陳腐な言い方だけれど、ブレードが氷に吸い付いて離れない、文字通りそんな感じで。 加えて上半身の音とリズムの取り方、ひとつひとつの音を拾ってピッタリと合わせて動くその魅せ方。 そしてスパイラルがなんと美しいのだろう。無理の無い自然で美しい曲線。 ほら御覧、脚を高く上げりゃいいってモンじゃないのよ〜、と、つい思ってしまう、“スケートの黄金率”というものがそこに存在するような……現代の若手選手が束になってもまだ敵わない、スケートのエッセンスを更に凝縮したような、そんな純粋な美しさがそこにはありました。 暗転した後、一気に場内が明るくなったと思ったら、「お楽しみ抽選会」に突入〜。 昨年は静香ちゃんと武史くんが進行係だったけれど、今年はそれに賢ちゃんと恩ちゃんも加わって、和やかかつまったりと(笑)。 最初に進行係として紹介されるのは賢ちゃんのはずなのに、どの回だったか「本田武史さん!」とアナウンスされ、「え? え?? 何やったらいいのか全然わかんないんすけど」とか言いながら武史くんがへこへこ氷上に現れたのに笑った笑った。すぐに賢ちゃんが助けに来てくれましたが。あれは何だったんだろ〜? チケットの半券を使った座席番号での抽選で、賞品は「モスバーガーの商品券」「眼鏡の弐萬円堂の商品券」「しーちゃんデザインのPUMAのTシャツ」。 あーー、Tシャツ欲しい! グッズ売り場で販売していたのとは違うんだもん! プログラムに載っている、出演者の名前をハート型に配置したもの。 「よしえちゃんが今着ているTシャツはさしあげられませんが、これと同じものをプレゼントします」Tシャツの柄は武史くんや賢ちゃんがぐるりと滑って見せて回る。あれ欲しいよう〜。 更に言うなら、彼らが来ているジャージ! Friends on Iceのロゴが入ってるジャージの上下、それがものすごく欲しい!(笑) 売ってくれれば多少高くても買うのに〜〜〜じたばたじたばた。 黒で、女の子のはサイドに濃いピンクのラインが入っていて、男子用はライン無しかな? ホント、受注生産でもいいから売ってくれないかしら。去年もロゴ入りのオリジナルジャンパーを着ていて、激しく欲しかったものだ。 それ着てスケート練習するから!(笑) 無理な願いは無理なものとして、とりあえずTシャツが当たりますようにと念を送るが、そういうクジ運は誰一人持ち合わせていない武史組。 敢え無く撃沈と相成りました。 ま、仕方ないや。滅多に上方を向かない武史くんが、スタンドからの我らの念(怨念?^^;)に気付いて手を振ってくれただけで満足満足、お腹一杯でありまする(^o^) その他、ことごとく東西南北を間違える恩ちゃん、席番号が読めないのをフォローしようとしてやっぱり読めず「係の者に聞いてまいります」と確認に行くしーちゃん(どんな風に書かれていたんだ…)、「さてこの間に次の抽選をしましょうか」とさり気なく進行を引き継ぐ武史くん、更には大ちゃんの振り付けを一瞬やってみせる賢ちゃんなどなど“フレンズ”感満載。 日曜日には、「娘を連れてきました」と、一回目に愛犬アロマちゃん、二回目にはティラミスちゃんをジャージの中に抱っこしていたしーちゃん。 退場時に氷の上におろすと、ちょこちょこちょこちょこ必死に歩いていった姿が可愛らしい。 武しゃん、ティラちゃんにマイクを向けても、何も喋ってくれへんよ(^_^; 最後に第二部への心意気を一人ずつ語って、抽選会の終了。 武史くんてば、ここでもアッサリ「がんばります」の一言。しーちゃん「それだけですか?」武「??」……はは………(何をかいわんや)。 これにて、整氷、25分間の休憩。 第二部は、ミラーボールから振りまかれるキラキラの照明、さながら流れ星が降りしきるような空間からスタート。 未来の“フレンズ”となるかもしれない、一般公募された子供たちの登場です。 出演するのは毎回2人、全公演合わせて8人の子供たち。 友加里ちゃんと大輔くんが、それぞれ一人ずつ子供の手を引いて氷上にエスコートし、リンク上で何かの“思い”を受け取って子供たちに渡す……。 音楽は『You Raise Me Up』男性ボーカルバージョン、静香ちゃんが“あの”青い衣装で登場して二人の子供の間を駆け抜け、更に他のスケーターたち(あっこちゃん、レナちゃん&ジョン、有香ちゃん)が加わって、子供たちが先頭でリンクを回る……夢の世界でその子たちを導くような、幻想的で感動的な演出でした。 初回に登場したのは、ちっちゃーーい男の子と、少し大きめの女の子。男の子はちびっちゃいくせにダブルジャンプを跳ぶわキャッチフットのスパイラルをするわで、なんか目が釘付け。名前がよく聞き取れなかったのが残念だなぁ。 二回目は割と大きめな女の子二人。見事なジャンプとスパイラル。 三回目は、男の子と女の子。やっぱり女の子の応募数が多かったのでしょう。 ラストは、これまたちっちゃーーーーい女の子と、中学年くらいの女の子。年上の子はきちんとジャンプも飛べるしスパイラルもスピードがあるのだけれど、おちびちゃんはスリージャンプがやっと、スパイラルではジョンが彼女をすっと持ち上げて高々とリフト、さながら空を飛んでいるかのようで。 客席からは毎回、暖かい大きな拍手。ああ、これがフレンズ・オン・アイスの空気だと、ほっこり優しい気持ちになる。 そしてこのとき、あっこちゃんが、しーちゃんのタイタニックの衣装を着ていたのですね。 うわあ、嬉しいだろうなと……。こちらもしみじみとしてしまいました。 じーーんとなった客席に響き渡る、ゴングの音。カンカンカンカン〜。 「ここでサプライズ・ゲストの登場です。2回世界を制したあの男が緊急参加!」 氷上にはボクシングのグローブ(セッティング by 大ちゃん。笑)。 フードを目深に被ってストイックに走るパーカー姿の細身の男性、 ☆ヤマト・ロッキー・タムラ。 シャドーボクシングもなかなかサマになってます。 パーカーを脱ぐと黄色いタンクトップ姿で、縄跳びで氷上を突っ切る! 腕立て伏せ! 客とたたかう! ラストはアリーナの階段を駆け上がり、これは映画と同じ光景? 煽り立てるアナウンスの中、通路脇のお客と握手しながら降りてきて、リンク中央でチャンピオンベルトを掲げてフィニッシュ。 アナウンサーが「ヤマト〜タムラ!」と言うと違う違う、と意義を唱え、改めて「ロッキー・バルボア!」とコールさせておりました。いよっやまさんっ。 続いて登場は、二つお下げに青い浴衣姿の☆恩田美栄ちゃん。 団扇を片手に『ずいずいずっころばし』 お客とじゃんけんしたり(「あいこだ!」とか言ってるの聞こえた)、飴をきんちゃくから出してぶつけたり(恩ちゃん^^; 最後は下からそっと放るようになった)。 千秋楽は大盤振る舞いとばかりに飴をひたすら客席に投げ、その時間分スパイラル一個飛ばしてたような(笑)。 恩ちゃんかわいーい! なプログラムでした。 ☆本田武史/『かたちあるもの』 ピアノインストゥルメタルバージョン。 『世界の中心で愛を叫ぶ』、私はドラマも映画も知らない、本を読んでもいない。だからよりまっさらな気持ちでこの新プログラムに向き合うことができた。 なんて美しく……静謐な瞬間。一途で思い溢れて、そして優しい。 ああ、武史くんだ………武史くんが、帰ってきた。 どこにも無理の無い、ありのままの感情の迸り。 氷上をひとつの世界に染め、観客は呼吸も忘れてその世界に取り込まれ、指先から髪の一筋までを追ってしまうような。 日曜日には、暗闇の中のアナウンスで結婚の発表が伝えられ、ひゅーひゅー! と賑やかな祝福ムードが広がる中、一音で、一動作で、会場に静かなる帳を下ろした。 あ。………私はこの静寂を知っている。 かつて、武史くんが選手として必死に上を目指していた頃。 どの試合に行っても、それはショートでもフリーでも、どんな場面であっても。 武史くんの演技の始まりの瞬間には、恐ろしいほどの静寂がリンクを包んでいた。 固唾を飲んで見守る、息をするのも躊躇われるほどの静けさ。同時にそれは、武史くんが創り上げる氷上の世界に、観客も入り込んでしまうということで。 それが、一つ目のジャンプの成功や時には失敗の瞬間、わあっと堰を切った様に決壊する…。 でも、その頃と今日この空間とは、明らかに違っていたものがある。 それはあの、押し潰されそうな「重苦しさ」が無いということ。 清らかな静謐さと、切ないほどの優しさに溢れた彼の世界は、余計な重圧を微塵も感じさせず、ただただ美しかった。 今日のこの空間に一番近いのは、引退を決めた年のメダリスト・オン・アイス、選手として最後の『アランフェス協奏曲』。もしくはソルトレイクオリンピックでのフリー演技のそれの四分半。だったかもしれない。 一瞬たりとも目が離せず、キャーだのワーだの敢えて盛り上げるための歓声も皆無で、時折漣のような拍手が沸き起こり、響いてまた静寂が戻る…。 普段、彼の演技を特別愛している人でなくても、この演技とその空間に、静かな感動を覚えたのではないだろうか。この数分間だけは、たぶん。 やばいなぁゼッタイやばい、と思っていたけど、とうとう千秋楽では涙が溢れてきてしまった。 嗚咽し泣きじゃくるわけではない、静かな感動の涙だった。 彼の代名詞のような美しいスプレッドイーグルも、流れるようなステップも、全身の動きから指先が語る何かまで、とにかく「本田武史」の何たるかが一杯に詰まった素晴らしいスケート、まさに本田武史ここにあり。もう、何度も何度も繰り返し観ていたいような。 このプログラム、FOIだけなのかなぁ。そんなの勿体無い、勿体無さ過ぎる! 願わくば今後も滑り続けて欲しいと、心から思う。 ☆クィン・パン&ジャン・トン/『アダージョ』 直前になって急に出演が決まった二人。公式プログラムにも間に合わなくて、折込も無くって可哀想&こっちも残念。よく来てくださいました、本当にありがとう。 このペアも、劇的に印象が変わった。 これまで、スポーティな雰囲気+線の細さがやたらと印象に残る、そんなイメージだったのに。 繊細さと線の細さは違う。細やかな情感を氷上に振りまきながら、彼らにしか出せない雰囲気を纏った演技。 かつて、雪ちゃん&宏博にいさんが劇的な変貌を遂げたシーズンのように、彼らもまた一時代を双肩に担える領域に、入りつつあるのかもしれない。 直前に武史くんが滑って残した世界観をそっと引き継ぐかのような雰囲気の演技で、なんだかすごく感動してしまった…。 ☆エヴァン・ライサチェク/『カルメン』 抽選会のラストで静香ちゃんに、第二部の見所として「エヴァン・ライサチェクの『カルメン』」と敢えて言わしめ、公式サイトにも「“あの”カルメンを…」などと書かれていたあのカルメン、本公演で見納め!? オープニングでも思ったがとにかく、彼が出てくると「長いっ!」と言ってしまう(^_^; 「大きい」とか「背が高い」ではなく、何故かどうしても「長い」。 リンクがかなり狭くなっている為もあってその対比でか、とんでもなく長く思えてしまうのだよー。 気合たっぷりの競技用カルメン、ジャンプ内容は当然変えてはいたけど、四分半きっちり滑ってくれたことがすごい。 公演後半にはコンビネーションジャンプを増やしたりなど、どんどんサービスが増えていって、やっぱりスケーターって滑りながらテンションを上げコンディションを整えていくんだなと、これは彼にだけでなく思ったこと。 それにしてもリンク狭いよなー、最後ストレートラインステップのはずが、サーペンタインになっていたぞ(^^; 日本を好きになってくれて、これから時々来てくれないだろうか。彼とはジュニアグランプリSBC杯からの仲なので(仲!?)、なんとなく親近感が沸くのであります。 ☆高橋大輔/『Bachelorette』 演技前の挨拶で「人ではないものを表現したい」というような意味のことを言っていたと思うのだけれど、掛け声に時折かき消されてよくわからなかった…。 (ファンの子達は、彼がどんな話をしているのか別に聞かなくてもいいのかなぁ? とちょっとだけ思った^^;) 最後の「がんばりまっす」というのが大ちゃんらしいや。 近年の大輔くんの、無闇やたらと粘っこいところが少々苦手な私だったのですが、このプログラムはそれをあまり感じないので、楽しんで観ていられる。 引き出しを次々とあけて何が入っているかどう使えるか確認しているような……このプログラムへの姿勢のひとつが、そんな印象。 ☆荒川静香/『Fly Me to the Moon』 ついに宮賢くん、しーちゃんにまで進出か! リズミカルで小粋なジャズは、かつての静香ちゃん的には不得手のジャンルであったと思うのだが、ほんっと彼女、上手くなったんだなぁ…。 友曰く、「しーちゃんがるんるんしているよー!」(^_^; ところどころにクラシカルでエレガントな空気が漂ったりするけれど、それは彼女の個性とも言えるのだろう。 それこそ、引き出しどんどん増やして、新しいものに次々と挑戦して。 なんだかもう、しーちゃんには「ありがとう!」を何度言っても足りないような気がしている。 一度フィニッシュになってから、再度『Fly Me to the Moon』が流れ出し、そのまま一気に ★フィナーレ! 日曜日は、やたらとテンション高いアナウンスがグランドフィナーレ〜とか煽っていたけど、そんなアナウンス無しでそのままなだれ込んだ方が洒落ててよかったなぁ、と思うんだ。 武史くん、岳斗くん、大ちゃんが一緒に出てきてジャンプ! 恩ちゃん友加里ちゃん明子ちゃんが出てきてスピン! 有香ちゃんとエヴァンが向き合って軽やかにステップ! これほんとに粋! 素敵だった〜。最後軽く腰の高さのリフトまで。 そこへ怜奈ちゃん&ジョン、パン&トンが滑ってきて、パートナーをチェンジしてのデススパイラル、本来のペアに戻って高々とリフト! 全員で円を描いてリズミカルにステップ踏みながら回り、いつのまにか賢ちゃんが加わって(千秋楽でやっと、いつ入り込んだのかわかったよ^^;)、天井からはシャボン玉がたくさん降ってきていて。 あのシャボン玉が割れたところは滑りにくそう〜とか、エッジが錆びる〜とか、妙なことが気になったりして(笑)。 ラスト、四隅でどかんと金銀テープがリンク上に振りまかれ、男女がそれぞれ組になってポーズ! 武史くんは正面中央で静香ちゃんと組んで、うーん絵になるわあ(^o^) この後最後の周回に入るのだけれど、千秋楽は待ってましたのオマケつき。 アナウンスの煽りが入って音楽がアップテンポのものになり、スケーターたちが次々中央に出ては大サービス! 順不同で覚えている限りでは。 大輔くんとエヴァンの逆回転ジャンプ! 一瞬、なんでそんならへろへろジャンプなのかわからなかった……方向逆やん! しかもシングルじゃないのよー。 スケーター数名による前屈イナバウアー! ご丁寧に、賢ちゃんは上着を背中が腹側に来るように逆に着ていて……何かと思えば!(笑)そしてここに武史くんが混ざっていたような気がするんだがー。 イナバウアーはあくまで脚の技なので、上半身の振り付けが個性的? なだけで何の問題も無いはずなんだよん(笑)。 イナバウアーといえば、静香ちゃんと友加里ちゃんが向かい合わせに両手を繋いで、ミラーでレイバック・イナバウアー。 友加里ちゃんと賢ちゃんのデススパイラル! これ、躊躇う友加里ちゃんを賢ちゃんが引っ張り出したように見えた。てか、賢ちゃんアイスダンサーなのに! なんと持ちネタ(?)の多い人だ…。友加里ちゃんは、ペアを試したことがあったものね。 有香ちゃんも同時にデススパイラルやっていたような、軸になってくれたのはジョンだったっけ? 記憶曖昧。 そしてアンコールのラストを飾るのは、岳斗くん。ぐいーんと助走をつけて………何をやるかすぐにピンと来たよ、4トウ! ああ転倒〜。 (武史くんも行くかと一瞬思ったけどそれで最後だった。まあ〜今やってもきっと……(^^;だし、それでまた怪我されたらホントもう勘弁だから!) 改めてお辞儀をして、これで本当におしまい。 SA席では周回とふれあいタイムが続いていて、ああ武史くんがいっぱいお花やプレゼント貰ってるよ、お祝いたくさん言ってもらえているのかなぁ〜等と、ほこほこ想像しながら帰り支度。 ショー終了後には、クリスマス・オン・アイスのチケット先行受付をやっていて…。 「嬉しいお知らせ、今年も開催!」と、言われても。 出演はしーちゃん以外決まってないし(更にプルさん決定、と申込書には書かれていたな)、現金払いのみだし、急に言われてもひっじょーに困るんですがっ(笑)。 他の出演者は交渉中ということで、武しゃん出てくれるかなぁ。 しかし結局、隣のセブンイレブンに駆け込んでしまうのであった(はは……)。 ともあれ、二年目のフレンズ・オン・アイスは、楽しく和やかな雰囲気で幕を閉じたのでありました。 ここ数年、日本国内でのショーやエキシビションの開催は爆発的に増えたけれど、その中で私が一番好きだと断言しちゃうのが、このフレンズ・オン・アイスだ。 会場全体がなんとなくひとつになるような、和やかで時にまったりグダグダと(笑)お友達が集まって楽しいことやるよ、っていうような、手作り感覚満載のあったかい雰囲気が心地よく。大好き。 この先もずっと、芯はこの感覚のまま、長く長く続けていって欲しい。 絶対に、通うから!(笑) 本当に、ありがとう。また、来年。 |