(00/12/08〜12/10/at Nagano Big Hat ) シドニー五輪で柔道の田村亮子選手が語った言葉を、どうしてもだぶらせてしまう自分を叱り付けながら。 そんな莫迦で勝手な応援者の前で、彼は、強かった。 |
12/08 全日本が始まった。 今日はシンクロナイズドスケーティング、それからコンパルソリーダンスとペアのショート。 一度、ダンスのコンパルを観てみたいんだよな〜、などと思いながら荷造り。といっても鞄は先週旭川から帰ってきたままの状態。 なんとか荷物を軽くしたいが、昨年極寒の福岡パピオを体験しているだけに、どうしても防寒具を多めに入れてしまう。 まがりなりにもビッグハットはオリンピック会場だったところ、設備もそれなりのはずだ。 しかし、リンク内で寒い思いをするのは、何にも増して苦痛だからなぁ。。。 観念して鞄を詰め、ネットで結果確認・・・と。 武史くんSP第一滑走! の情報が飛び込んできた。 は? はい〜〜〜〜〜!!? なんとまぁ。またですか。 最近極端なんだよきみは〜(泣笑)。 しかも、その後届いたメールなどによると、自ら「一番を引く」宣言(?)をして、場内「一番!」「一番!」コールに沸く中、みごと一番を引き当てたらしい(^^;。 おう、ええ度胸や。やるじゃん! と安心しつつ、しかしそこまで自分を鼓舞する彼の心中を思い、胸が痛んだ。 しかし、それもこちらの勝手な感傷。 真正面から立ち向かってる彼の為に、精一杯の応援あるのみ! 12/09 東京駅にて、待ち合わせ。 長野着は10時20分頃。 昨年は朝早くから会場内に入っていられたのだけど、今年はどうだろう。その前の新横浜では、一旦外に出されたそうだし。このへんは毎年違うらしい。 前日から長野に入っている友達に、申し訳無いと思いながら車内で思いを巡らせる。 新聞もみな、優勝は本田、という書き方。そりゃ、順当に実力を考えたらそうなんだけど。。。優勝しか出来ない、これは心中相当きついだろうに。しかしそこで、勝って欲しい。 つくづく、ファンは、勝手だ。 路線バスは最初から諦め、タクシーで会場に向かう。 ビッグハットに着くと、もう既に列ができていた。 ぐるりと見渡せばそこここに見知ったお顔、つい1週間ぶりの人もいる(笑)。 ご挨拶だのお喋りだのしつつ、ふと見ると。 あ。 階段を降りてくるのは。 武史くんのお父上だった。 今季は行かない、と言っていた武史パパ。直前まで迷ってらした。 やっぱり来ちゃった・・・のですね(^-^)。「はい、来ちゃいました」。 武史くんはこのことを知らないという。 でも、リンク内からすぐにわかるはず。 きっと、心強く思うだろう。何故とはなく、心がほころぶ自分がいる。 うん。きっと大丈夫。 11時。開場。 席をとっておいてくれた友人がいる。本当にありがとう、朝早くから。 「プログラム買わなくていいの?」せいさんのお言葉。 とりあえず荷物を置いて、それから・・・と思ったら、部数が限られていて、しかもかなり少ないらしい。げ。それは困る。 慌てて購入。ピンバッジとセットで1000円。 滑走順の紙をもらって場内に入る。 中では、女子の練習がまだ続いていた。 ジャッジ席の真上に、どぉ〜んと貴賓席。まさに「ロイヤルボックス」。ほんとに箱だ(笑)。 その左右の席は今回すべて関係者用となっていて、一般席はジャッジと反対側かショートサイドのみだった。あ、二階席はあるけど。 しかし、座席数はけっこう少ない。ほんとにここで、来季のWorld やるんだろうか。狭すぎないか? リンクサイド席をつくるとしても、いったい何人入れるんだろ。チケット争奪戦が・・・考えたくない(--;。実際のところ、どうなんでしょう?? などと、漫然と考えてる場合ではない。今日はまず、大切な使命があるのだ。 NHK杯で預かった、『フラッシュはやめよう!』の横断幕。これを貼らねば。 しかし、つくったことも貼ったことも無い横断幕ビギナーのわたし、しばし他の皆さまの様子を伺う(笑)。 応援用の横断幕は、選手によく見える位置に。しかしこれは場内のお客さん向けだから・・・。ぐるりと見渡して、ショートサイドの上側に決めた。 けいこさんに手伝ってもらって、何とか完了。しかし、紐が緩みはしないか、妙に気になる(心配性^^;)。 結局、ガムテープをお借りして、紐部分に補強。はーこさん、感謝です(^^)。 ファンファーレが鳴る。いよいよ競技開始。 第一グループのウォーミングアップ。扉に手をかけ、武史くん一番に出てくるつもりだ。 もう〜、いきなり私的真打ち登場じゃないの!(ぶるぶる)。 茂木直治くんが棄権ということで、第一グループは5人。 ど、どうだろどうだろどうだろ。き、緊張してきた。。。 けっこう落ち着いてる風には見える。 しかも、軽々と4+3! しかし、しかしだ・・・くぅ。だいじょぶだよね? リンクサイドには、今日もしっかりダグコーチの姿が。 そこにいるというだけで、心がほっとする。どうぞ、しっかり見守ってあげてください。 「いいの、もうわたしこれは4回転が決まれば、コンビネーションじゃなくても」「ダメだよ、それじゃ減点になっちゃう」「あ、そっか」「3+3じゃ駄目なの?」「ん〜、やっぱし4・・・入らないと・・・」「入れたいでしょ、そこは、武しゃんだし」妙にとぼけた会話を交わしながら、しかし心中そんなもんではない。 「練習時間、あと1分です」。 アナウンスに、心臓が跳ねあがる。なんでもう、武史くんが始まっちゃうの。 いやちょっと待て、落ち着いて。誰かが一番に滑らなければならないのだから、それがたまたま彼だっただけ。 いちいちそんなことで心を揺らしてどうする。応援する側が、ガタガタしてたらいけない。いつも言ってることじゃないの、競技はここから始まるのだから。 そう、競技は武史くんから始まる。激闘男子シングルの幕開けにふさわしい。 他選手がリンクサイドにあがる。 中央で大きく息をつき、ポーズをとる。 軽快な「ドン・キホーテ」が始まる。。。 今季、この軽やかで楽しいプログラムが大好きになった。 何でだろう、一度も完璧な「ドン・キホーテ」は観ていないのに。 息つく間もなくステップが詰め込まれたような、見た目以上に遥かに難しいだろうこのプログラムは、観ていて何故だか幸せになれる。 昨シーズンの「バイオリン・コンチェルト」も大好きだったけど。その前の「Two Minutes Warning」も大好きだったけど。 なんでだろうなぁ。 余裕が持てるようになってきたら、きっと笑顔ばしばしの、とろけるようなプログラムになりそう。そんなことを予感して。 渾身の思いを込めて氷上を見つめ、両手を握りしめて。いけ、4トゥ! 手をつく。あちゃ。セカンドにとりあえず一回転。これが精一杯か。 しかしジャンプだけではない、他のエレメンツを観てよ。 ダンス・バレエのレッスンからも培った、その身のこなしや足捌きを。 そしてきれいなスプレッド・イーグルから3アクセル。これさえ決まれば! わたしは今日、それを観に来たのよ〜と、若干混乱した頭で見守る。決まった! すうっと流れて、スピン。 よし。よし。大丈夫。 N杯でタイミングが合わずに転倒した3ルッツ、今日はOK! 後は、終盤に向けて加速していくステップ、スピン、フィニッシュ。 ジャン! という曲の終わりと共に膝をついたポーズ、そのまま流れて。 前に差し出した右手を軽く握って、おろす。それは「よし」なのか「あ〜、ちくしょ」なのか、背中からはわからない。 こちらを向いた表情は、それなりにしっかりした顔だと思えた。昨年のようなガッツポーズは無いけれど。 わたし、ほんとにこのプログラム、大好きだ! 「ただいま採点基準を・・・」のアナウンス。 これで一体何点が出るのか。 文句無し、パーフェクトな演技だったら何番滑走だろうが関係無さそうだが。。。コンビを落としたことがどれくらい響くのか、まして今後の採点の基準になるわけだから。 出た。 E 5.3 5.4 5.3 5.3 5.3 5.3 5.3 5.3 5.3 P 5.7 5.7 5.7 5.8 5.8 5.7 5.7 5.7 5.7 ん〜〜〜、エレメンツはけっこう、辛目かな。 上位候補選手がノーミスだったら、充分上回る可能性がある。ともかく、ここからスタート(心中穏やかではないのだが!)。 プレゼンはそれなり、5.8も出た。 さて。 これから一体、どういう展開になるのか。 ものすごい展開になった。 全日本の採点がこんなに厳しかったことって、かつてあるんだろうか(失礼、過去データの記憶はまったく無しに書いてます。ただ少なくとも、去年よりは遥かに厳しい)。 まず5点台が出ない、出ない。 たとえ目立ったミスが無くても、エレメンツの内容で基礎点は決まってしまうから。 4点台が当たり前、3点台も珍しくない。おまけに2点台まで複数人数に出るなんて。 おいおいおい〜、どうなるんだよ。 ふと昨シーズンの四大陸を思い出す。 男子SPの第一滑走が、中国の李運飛選手。4回転も織り交ぜ、ジャンプに微塵の乱れも無かったこの選手が基準になったためか。 シニアの国際大会で初めて、わたしは1点台、というものを見たのだった。 もちろん、今日はそれほどではないにしても。 第2グループ、中庭健介くん、田村岳斗くんと続いていた。 ある意味、ふたりにとってもチャンス。しかし。 全日本にも魔物がいるか。 SPを滑る選手の緊張はどれ程のものだろう。観ているだけのわたしでさえ、こんなに苦しいのだから。 岳斗くん、4トゥで手をつき、3アクセルで転倒。3ルッツは成功。 第3グループ。 関徳武(めぐむ)くんが、このグループの最初。 「ファウスト」は昨シーズンも観ている。つくづく、身体の線がきれいな選手だ。 密かに応援しているのだが・・・う〜ん、彼本来の出来ではない。 長身で、手足も長い。技が決まれば、素晴らしく映えるだろうに。。。残念。 昨年は最終グループに残った岩本英嗣くん。 しかし今日は・・・嗚呼。 竹内洋輔くん。「禿山の一夜」で力の入ったSPだが・・・ファーストジャンプで転倒(確か。違ってたらごめんなさい)。 うーんうーんうーん。 煮え切らない。 何だろう、いろんな思いがぐちゃぐちゃに混じって、心に波風が立つ。乱れまくってる。 そんな中で、このグループ最後、18番滑走の石垣潤くん。 「シニアデビュー当時の武史くんを彷彿とさせる」。そんな評が気になっていたのだが・・・。 納得!!(にっこり) あぁ〜、そう〜よねぇ〜。そうそう。こんな感じこんな感じ(当の石垣くんには失礼かもしれないが^^;)。 その雰囲気、というか、身体の線というか初々しさというか。。。 しかし現在彼は高校3年生。今の武しゃんと、それほど歳が離れているわけではないのだ。背も高いし。 なのにこの既視感は・・・不思議ね。 ともかく、この演技でやや心が和らいだのは確か。おまけに偶然にも音楽が「Swing Kids」であった。使われたパートは違っていたけど。 やっとここで整氷。 グループが5つあるから仕方ないとはいえ、最後のほうはかなりガサガサの氷。ちょっと選手が気の毒だったかな。。。 外へ出て、伸び。ぶんぶんと身体を動かして。 通路には選手や関係者もうろうろ入り乱れていて、この辺りが全日本! イヤホンで音楽を聴きながら、走ってアップしている選手もいる。邪魔しないように、気を付けながら。 気が付いたらお腹がすいていた。 ロビー(というより、入り口前の通路)では、いろんなものを売っている。 あったかいコーヒーや飲み物、ポップコーンだのおにぎりだの、おまけに長野名物まであって、なんだかドライブインみたい(笑)。 N杯でふられまくった肉まん、今日は食べるぞ! ・・・250円もした・・・でも、美味しい! コンビニ肉まんとは違う、これお値打ちかも。美味しいよ〜(涙)。 しかし、そうやって美味しい美味しいといいながら、心の中ではこの後の展開を考えている。心が全然静まらない。 ちょうど出会ったメグマニアズの皆さんに、思わず励ましてもらう始末。 「だいじょうぶですよ!」ありがとう、ありがとう、ごめんね。みんな優しい。 ついたった今、膝を冷やしているメグくんを見かけたばかりだったのに。どんなにか心配だろうに。ごめんなさい。 わたしはまだまだ、修行が足りない(去年も同じことを言ったような)。 第4グループ。 今季、ラリック杯に出場した岡崎真くんが22番目に出てくる。そして、彼がやってくれた。 3アクセル+2トゥ、3ルッツ、2アクセル。今の時代の最高難度ではないけれど、ミスが目立った上位候補陣の中で、きっちり確実にエレメンツを決める。客席にも伝わる集中力。 音楽は「Robin Hood」。身体もぐっと絞ってきた感じだ。お見事。 生年月日から計算したら、彼は今24歳? 若年化が進むシングル競技者の中で、これはたいしたものだと思う。 ここで初めて。 エレメンツで武史くんより上の点数がついた。 ショートプログラムって、技術点が高いほうが上なんだっけ。 しかしプレゼンテーションにはかなりの開きがある(こっちは武史くんのほうが上)。 くぅ〜、どっちなんだぁ〜。 周囲の友達は、皆「武史くんがまだ上だよ」と言う。たぶん、そうだと思うんだけど。。。 最終グループ。トップは田中総司くん。 おそらく、彼次第で決まる――――あ。ジャンプがすっぽ抜けた・・・。 最終滑走者の演技が終わって。 軽い脱力感を覚えながらも、斜め上方、パソコン部隊の陣取る席へと向かう。 “パソコン部隊”・・・勝手に呼んでしまっているが、リアルタイムで結果をそれぞれホームページに up している皆さま方のこと(すみませぬ^^;)。 何しろ場内に結果は表示されないので、ここでデータを見せていただくのが一番正確で早いのだ。 競技の最中、長久保コーチ&御大・佐野稔氏が、そのすぐ上の席に座ってじっと覗き込んでいたのを知っている。 関係者や選手が、代わる代わる来てはわやわやと覗き込む。 この一角の人だかりは、ひと競技終わるごとの恒例となっていた(何せプリンタまであるのだから!)。 t さんが上から結果を読み上げる。 「本田−岡崎−竹内−田中−田村−中庭−・・・・・・」 へたへたへた。一気に力が抜けた。 一位通過だ・・・。 場内点描。 武史くんが滑り終わってしばらくすると、関係者席にダグ・リーコーチが現れた。 しばらく立ってじっと演技を観ている。 ダグコーチは、開催中ほんとに熱心に、他選手の演技を観ていた。 しばらくして、武史くんも現れた。 コーチと、他関係者の方と、けっこう長時間話している模様。 一段落ついて。。。と! 武史くん、すたすたと通路を歩いて、一般席のほうに向かってくる。 彼の歩き方は独特ですぐわかる。 背筋を伸ばして、頭をぐっとあげて、両手を大きく振って大またで。リズムをとっているよう。“とてとてとて”との擬音を奉ったのは m さん(^^)。 ぐるっと回って、座席後方。武史パパの隣に腰を下ろした。 はあっ。今後ろを振り返っちゃいけない。心がほんわりしてきた。なんだか、泣けてきた。良かった――。 男子が終わって整氷時間。 今度こそ、落ち着いて見て回る。 スケートグッズを売っている机もある。そこで発見、Stars on Ice カレンダー!! 渋谷のタワーレコードでフラれたやつだ。迷わず購入。もうひとつ、スケーターズ・カレンダーというのがあって、こちらはエルヴィス兄さんが表紙。 ほぉ〜、武しゃんいないかしら、とめくっていたら、「うおー、○○こんなところにいる」。え、と隣を見上げると、ひえぇっ! 男子選手の一群であった。 こ、こんなに接近遭遇してて良いのか。焦る。 エルヴィスに誰かが似ているのか、しきりに○○こんなところで、と笑っている。 おまけに、あろうことか今度は隣にメグくんがぁ! 硬直。 顔が固まったまま、しずしずと後ずさり、くるりときびすを返して平和な方向へ。 笑わば笑え、わたしはそういう性格だ!(大笑) |