03/18 男子予選/ペアショートプログラム

起きたの6時くらいだったかな。
のたのたとお風呂に入りに行く。

そう、このホテルには大浴場があったのでした(それが選んだ理由のひとつだったり)。
まぁ“大”という大きさではなかったけれど、部屋のユニットバスより絶対広いお風呂のほうが疲れは取れるし目も覚める。
ガラス張りで外も見えるし―――といっても、街の景色だけどね。
他にお客はいなくて、貸切状態。ふふふーん♪

シャトルバスの始発に充分間に合うように駅に行ったら、まさに目の前で発車されてしまったー。
時刻表と違うじゃん(笑)。でも本数が多いことに異論のあろうはずは無く。次のバスに乗って座って待つ。
チケット売りのおじさん、感じの良い人だった。


スターティングオーダーを貰い、まずはさておき座席チェック。
事前に座席表を見て把握していた通り、ほぼ中央後方、私好みのどんぴしゃの席であった。
TVカメラが鎮座しているので後ろのほうが邪魔にならないし、何よりリンク全体が見渡せる。
願わくばジャッジ側が良かったんだけどな、あちらは主に海外売りということなので仕方が無い。

そう言えば友人saさんは、何とその海外エリアの通し券で、チケットそのものが海外バージョンだった。
最初は自分の席の番号が無い、と焦ったとか(web の座席表には、そちら側は載ってなかったから^^;)。
どれくらい海外のお客さん、来るんだろう……。極東日本。

そしてなるほど通し席ブロック、顔見知りさんに会うこと会うこと。
おっしゃ! だもんね。検討を祈りあう。
後半戦から来る人も多いから、通し席でもぽつぽつ空いてたりするんだけど。

荷物を置いて、ちょっとばかり場内探検。
広い広い広い〜。何せ元は400mリンク。
本来氷が張ってあるべきところが通路なんだから。

北スタンド以外は全て仮設座席。
横から見ると、網の目のように組み上げてある鉄パイプが丸見えで、実は結構怖いのだ。
よく作ったよ、これ……。
必ず起こるであろう、民族大移動が今から不安。そこは日本の技術、崩れたりはしないだろうけど、ね。気持ち的に。
座席間の段差はけっこうつけてあって、見易いのはありがたかった。

リンクと客席の間には1メートルくらい離してフェンスがあって、一般客は入り込めないようになっている。
これなら“リンクサイドに鈴なり”はできない。ちょっと安堵する。

奥のほうには飲食ブース。
机や椅子も置いてあるし、食べ物も種類が豊富そうだし、事前に準備してこなくても平気かな。
日程後半は混むだろうなぁ。

オフィシャルブースでプログラムとメディアインフォメーションを購入。さすがは世界選、分厚い!
それにしても、放送局のアナウンサー本までオフィシャルグッズとはエエ根性じゃありませんかね(^_^;。
WFS7はまだ出ていない。大会期間中に先行発売されると踏んでいるのだが。


程ほどにして席に戻る。
私的にはいきなり本日のメインイベントなのだから、そうそうのんびり探検なんてしてられないのだ。
腹を括らないと。


男子予選Aグループ。
何故かいつもいつも早目の滑走順を引きがちな武史くん、しっかり8番滑走である。
第1グループには、マット・サボイも竹内くんも居たのだが、殆ど覚えていない(ごめんよぅ)。
でも竹内くんのときには、日の丸振って応援したもんね!

第2グループのウォーミングアップ。
現れた武史くんはベージュ色の衣装だった。戦火のアランフェス…。

きっとフリーは例のワインレッド。今日はまた違った心持ちで臨むのだろう、と思ったらもうたまらない。

中央に立つ姿を見つめる。
今まさに世界選手権が、目の前で始まっているのだと、思い知らされる。

ステップから3フリップ―――怖い怖い怖い。ちょっと足元が〜〜〜。
こうなると後も心配で心配でしょうがなくなるんだよう。必要以上にジャンプが気になる。
4トゥは着氷前にもう、転ぶ、と思った。そんなの嫌だ。

頼むから、泣かないでよ、今日は!

サルコウは3回転。無理しなかったのは正解だろう。3アクセル――2トゥ、なんとか。
ひたすらヒヤッとするジャンプとは裏腹に、動きの美しさは際立つ。
そして2回目のアクセル―――――――うわ!

入りのステップが、アクセル用じゃなかった。

確かに。
3つ目を入れるなら、ここしか無いとは思っていた。
しかし、本当に本番で跳びなおしてくるとは。それがきっちり決まるとは。

4トゥ成功。

なんだかもう、これだけで。
胸が一杯になってしまうのだから、応援者というものは。
最初からquad3回、入れる予定だったのだから、厳密には跳びなおしでは無いんだけれど。

なんでループでステップアウトするんだよー、とか、ルッツ危ないぃ〜、とか。
しっかりジャンプの展開は追っててそんなこと考えて、最後ウォレイの着地でまでヒヤッとして、それでも一番大きな思いは「強くなったね」。

本当は、2つ目の3アクセル、大好きだったんだ。
昨シーズンの構成だったら、イーグルから単独で入ったところ。
そりゃもうゴージャスで大好きだったんだけど……4回転を3回入れる、って決めて。
3つ目はここ、って言い聞かせて。後半に跳んできた4回転。

これが今季後半の彼の強さだ。
確かに本来の実力を考えれば、上出来だなんて言えないのだけれど。決して大崩れはしない。
まだちょっと、心と身体が微妙にあってなかったかもしれないんだけど、不思議と泣きたくなるような不安は無いの。


5.4−5.6、5.2−5.8。うーん、まぁしょうがないかな…………って!!
ちょっと待て、5.2? ファイブ・ツーだと!?
しかも第二マークで!??

どこのジャッジや、ちょっとこっち来い!!! あきゃあ(^o^;

ぜいぜいぜいぜいぜいぜい。
すいません、わかってます(;^_^A

テクニカルはともかく、プレゼンでここまで下げられるって、最近滅多に無かったことなんで焦ったんだわ。はは……。
そこまで常に評価されることが当たり前という認識が、自然に頭の中に形成されてしまっている訳で。考えてみたら凄いことだ。

いや、第一マークだったら多分素直に納得したのよね。5.2でも。きっつ〜とか言いながら。
隣のNさんと、一瞬の憤り+苦笑い。
主観の入る採点競技、こういうところもひっくるめて面白がらなきゃやってられない。

スクリーンに映る武史くん、さほど落胆の表情ではない様子にホッとする。
とりあえず、ここまでで1位。


ヤグディンのグラディエーター、なんだかもう別格だし余裕だし、凄いんだけど物足りない。
このプログラム、まさにヤグって感じで好きなんだけどなぁ。
まさかもう一度、目の前で観られるとは思ってなかったのに。
折角の機会に、この自分の心持ちが勿体無い。でもそういう気分になっちゃったものは。

余裕を更に余裕綽々にさせた原因に思いあたるから(^^;、余計だ。
ジャンプも密度は下げてあったし……それでもしっかりきっちり降りるところが凄いんだけど。4−3も入ったし。なんであんなに軸が曲がっても降りてこれるんだろ。

そんでもって、アナウンスで「今日はヤグディン選手のお誕生日」なんて入るからカチンときた。
おいおいおい、競技中だぞっ。
だったら大会中に誕生日を迎えた選手全員にそれ言うんだろうなぁ、ええ?

そんなアナウンス入れてる暇があったら、フラッシュ禁止を放送してくれ!!

別にヤグくんの誕生日はいいのだ。アナウンスでも何でもしたっていいよ。
だがそれ以前に、本来すべきことをぜんっぜんしてない係員にはさっきから腹がたってるんだっ!!

思えば全州が懐かしい。
とてもフィギュアの競技会場とは思えない雰囲気だったかもしれないが、恐ろしいほどきっちり生真面目に、カメラもビデオも取り締まっていた。
一度でもフラッシュが光れば、演技終了後すかさずアナウンスが入る。係員が飛んでくる。

代々木だって、常に係員がフェンスの内側に客席を向いてしゃがみ、直接注意しに行ってたもんだ。得点待ちの間なら行っても邪魔にならないでしょ。

なのにここでは、注意しているのはお客なのだ。皆、言いたくて言ってるわけじゃない。
高いお金を払って楽しみに来ているのに、なんでそんなことまで客にやらせるんだよ、仮にもオリンピックを開催したその場所で!
予選でこれなら、後半はどうなっちゃうんだろう。考えたくもない。後で絶対、大会本部に提言してやる。

おっと、思考が明後日の方に行ってしまった。いけないいけない。
しかし小さなストレスが少しずつ溜まってきて、リンク上の選手に集中できない。
悔しい……。

最終滑走の張民くん、なんと4回転が3回。そのうち2つはコンビネーション。
これには吃驚した。NHK杯とは別人だ。
プレゼンテーションで順位が割れて、結局4位になったけれど、ちょっと焦った。(うう、どっかり安心して観ていたい……^^;)


1 YAGUDIN
2 ABT
3 HONDA

14 TAKEUCHI

良かった…。竹内くんショートに進める。

んでもって、先の「ファイブ・ツー」ジャッジ氏は、しっかり武史くんに3位をつけていた。
あ、そーだったのね。焦らせないでくださいよぅ(笑)。


予選がひとグループ終わっただけなのに、なんだか疲れてしまった。
とにかくなんとか、3位に残ってくれた。明日のショートプログラム、最終グループで滑れる。

まだやっと本日の予定の3分の1。

休憩中に、武史くんのご両親に挨拶をする。
お二人揃っての観戦は、滅多に無いことだもの。頑張って欲しいよ、武史くん。(当初はお兄さんも来るはずだったとのことで、ますます)
お話しているうちに思わずお二人の前で「大丈夫ですよ!」と“ファイトとガッツの気合ポーズ(なんですかそれは^^;)”をしてしまった(以後連日連発することになる/笑)。

だってほんとに、なんだか、ね。
日本でこんな大舞台。

「期待」とはそのまま「順位」のことではないのです。少なくとも私たちにとっては!



男子予選Bグループ。
集中力を、Aグループで既に使い果たしてしまったらしい私の感覚では、ひたすら流れるように競技が進行していって。

ティムがいきなり第一滑走で、ジャンプをぱしぱし跳んでたな〜とか。
うわ、高松くん(Song Gao)がディネフを抜いちゃったよとか、ランビエールくんのスピン凄いなぁ、とか。
ギリシャの彼は不思議な感じだね。そういえばメキシコから出てないぞ。
ロマンくんのこのプログラム、見るの今季何回目だろう、とか……。

思いっきり断片的で。

気がつけば、予選は終わっていた。

1 GOEBEL
2 WEISS
3 LI

成程なぁ…。
一応、予想の範囲内。
しかしワイス、世界選にはきっちり合わせてくるんだね。たいしたもんだ。凄い。

どうでもいいけど、今日の日本語アナウンス、「〜さん」がついてなかったな。
何でだろう(ついてなかったのは結局この日だけ。何故?)。


ようやくここで、オープニング・セレモニー。
東女体のシンクロチーム(多分)が、サーモンピンクの衣装でフラッグ・パレード。
さすがに、参加国の数が違う。

考えてみれば、今日この時間だけで、もう世界選手権が終わってしまった選手もいるのだよね。
オープニング・セレモニーの始まる前に!

頂点に立つ者の下には、どれ程の人数がひしめいていることか。
TV中継される上位選手が普通なんじゃない、彼らは技術的にも精神的にも、選りすぐられた特別凄い人たちなんだよ。

改めて、そう思った。



ペアSP。
フリーは何度か観ていても、ショートは見る機会がなかなか無いというパターンが多いのがペア。
N杯だって最近はペアSPはTV中継をしてくれない(そりゃ初日から行けば観られるけれど、それがなかなか)。

だからとっても楽しみだったし、喜んで観ていたのは間違いないのだが、これまたやはり記憶があまり無くって。
現場で心ゆくまで楽しむ、それは観戦の基本姿勢だよね、と自分を慰め言い聞かせつつ、なんとか手繰り寄せると。

ベレズナヤちゃんたちもサレー組も揃って欠場で、サラ&ステファンも怪我は間に合わなくて(残念〜!)、そうなると雪ちゃんたちの技術はやはり別格だ。
そして衣装が! 雪ちゃん、そのコスチュームきれいよ!! 生で観ると格別だわぁ。
(またしても)やればできるんじゃんかチーム・チャイナ衣装部!!^^;

2−4位は、かなり混戦で難しい。これは殆どジャッジの好みではないだろうか。

1 SHEN & ZHAO
2 TOTMIANINA & MARININ
3 INA & ZIMMERMAN
4 PETROVA & TIKHONOV

次いで、5位にパン&トンがぴったりつけていたのに驚いた。
今季ここまでしっかり上がってくるとは。
そしてパンちゃん、その右手の包帯は!?(やや心配モード)

悠子ちゃん&マルクンのSPも、観るのは初めて。
『アイーダ』なんですが―――――うう〜〜〜む(^_^;。

元々のオペラの物語性とか、このプログラムで表したいものは? とかそういうこと以前に。
ひとこと、「雰囲気に似合うプログラムをやらせてあげたいなぁ…」
いまひとつ彼らのキャラクターって、競技で確立していないのね。
壮行会で観た『バービー』はなかなか良かったから、あんな感じで押してもいいのに〜。
(この時点では、当然その後の展開を知っていよう筈が無かったので…)


ペア競技の最中、けっこうな団体さんが客席に入ってきた。
お、新幹線が着いたのかしら、それともお仕事が終わって駆けつけた人たちかな、なんてぼんやり思ってたら。
カナダからのご一行様でした。

あっという間に Kiss & Cry 真上の1ブロックが埋まり、メイプルリーフを染め抜いた旗が広げられる。
思い思いに赤と白が基調の服を着て。
総じて平均年齢はやや高そう。

ようこそ、地球の反対側から!
ホントに、スケート観戦が好きで、彼らから見たらこんな極東まで、はるばるやってきたのね。

だけどホントに1ブロックなんだもの。
感心すると同時に、妙に可笑しさがこみ上げてきて、ついつい笑ってしまった私らだった。
スカスカの北側スタンド、一角だけ紅白でびっしり埋まったんだもん。

彼らは、この客数をどう考えるのだろう。
公式練習でさえ1万人は入るという国からのお客さん。
言っとくけど、盛り上がってない訳じゃあないんだぞー(TVで御覧になった方にも^^;)。
仕方が無いのだ、今日は普通の月曜日なのだから。

ただでさえ、大概の企業では「決算月」である3月に、月曜から丸々一週間休める社会人がいったいどれ程いると思うの(休めるようになってくれたらホントありがたいんだけどね)。日本はそういう国なのよぅ。

皆、自分のできるだけの無理をしながら、時間とお金をやりくりして来ている訳で。
今日だって、一応南側通し席ブロックはそこそこ埋まってるんだから。

男子フリーのある21日が祝日というのは、偶然か必然か。

またしばらくすると、カナダブロックの隣の一角がいきなり埋まった。
今度は From USA ご一行様。こちらもワンブロック完全占拠。
カナダの隣はアメリカなのね。

この二つの国の人々が観戦している様子は、実に実に対照的で。その温度差を一週間、まじまじと興味深く見たものだった。
そのあたりのことは、また追々。

さすがにツアーを組んでまでやってくるのは北米の皆さんだけかなぁ。明日以降、どんどん向こう側の席も埋まってくれるのかしら。
埋まって欲しいな。

まだ殆ど人のいない東側スタンド上方では、ぱらぱらと選手が座って観ていたり。
カナダ選手陣と一緒に居たミシェルさんの、実にお茶目なシーンを目撃し、思わず顔がほころんでしまった。か、可愛い。ミシェルぅ〜(^o^)。

その客席ほぼ最上段からダダ――――ッと駆け下りて花束を投げ込み、またダダ――――ッと駆け上がっていくジェフ氏もお茶目也。


そんなこんなで競技終了<おぃ^^;(ごめんなさい)


外はなんだか雨? 雨!
車で来ている友人に乗っけてもらって(ありがとう〜)、今日の夕ご飯は駐車場のあるファミレスへ。
さすがに人様に運転していただくのに、自分だけアルコール飲んだりしませんよ(笑)。

だから酔ってるはずは無いのに、ホテル近くの路上で降ろしてもらった私は観戦用具の入ったバッグをそっくり車に忘れたまま、十数メートルをすたすたと歩き……。
妙に軽い両手に「ハタ!」と気づいて、大慌てで車を追っかけたのでした。
信号が赤でよかったさ……。(と言うより、皆さんが気づいてくれていたのだな(^_^;。スミマセン、お世話かけました)


さて。
早速今夜からTV放送があるのよ!

深夜で時間は短いが、予選から放送してくれるなんて自国開催じゃなきゃ絶対有り得ない。
ぱぱぱっと片付けて、るるる〜ん♪な気分でTVに向かって、数十分後に放心(呆心?)状態になったことは、もはや詳述する気も起きず。
(皆さんご存知の通りですな。ありゃ〜凄かった。あそこまで徹底されると笑うしかない)

呆けたままメールを受信すれば、カナダからの手紙。

ああ、そちらではライブ放送だったのね……。
この差はいったい何なのよ。

空虚な笑いを顔に貼り付けつつ、明日の為に寝に入ろう。
今日も明日も明後日も、半日以上はリンクに居るんだもんね。
たとえ座って観ているだけとはいえ、かなりな体力勝負だ、これは。
(いつも観に行っている方には当然のことなんだろうけど、さすがに違うわと思ったんでした。全日本も長丁場だけど、世界選は一週間続くんだもんね。改めて、しみじみと)


明日は男子ショートプログラム。


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