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大会三日目。
競技は男子SPから。

ウォームアップを漫然と見ながら、ああやっぱり寂しいな……と。
メンバー的にはかなり豪華で、見応え充分な大会になるはずなのだが。
始まってしまえば集中集中、だな。と、そんなところへ。

「選手の滑走順をお知らせします。一番、ミッシェル・キュリーさん、カナダ。二番、太田由希奈さん、日本」

ここでアナウンス、ストップ。
そりゃ〜どう考えても女子の滑走順でございましょう……。アナウンス嬢も緊張してる?
気を取り直して、もう一度。
ティモシーが一番滑走なのよね、のっけから大変だ。「………さんばん、マシュー・サボイさん、にっぽん

へ?
またしても、空気が固まる。えとあのその、マット?

なんだかもう、脱力の後に無性に可笑しくなっちゃって。しかも、よりによって、マット……。日本、来る? 貴方の演技好きよ、私は。
その後三度目の正直、ようやく正しい滑走順が読み上げられたのでした。
気が抜けた……(笑)。
あちこちの皆様の観戦記に必ず出てきてしまうこのエピソード。私も削れませんでした、だって忘れられないんだもの〜。書いちゃってごめんなさい。極度の緊張で舞い上がってしまうって、誰にでもあるよね。


さてさて。そうなのだ。
一番、ティモシー・ゲーブルさん。曲はロミオとジュリエット、プロコフィエフ。
二番、中庭健介さん、曲はロミオとジュリエット、チャイコフスキー。

ここに武史くんがいたら、と、どれほど思ったことだろう!! ○番、本田武史さん、曲はロミオとジュリエット、ニーノ・ロータ。うう。

健ちゃんのロミジュリは、辛くて切なくて、観ているこっちもジーーンと来てしまうようなプログラムだった。
私が今まで生で見た彼の演技の中で、一番の出来じゃないかと。
彼も脚の具合がよくなかったんだっけ? 違ったかしら。だけど、敢えて4回転をはずしたこの構成は、正しかったと思う。


あー、だから切ないんだよー!!(笑)

マットはステップでつまづくし(泣)。アプトもジャンプがいまひとつだし。
段々気分が盛り下がってきてしまったところへ高松くん。お久しぶりです。
(最近だと漢字表記が「高嵩 こーすー」なのね。しかし最初に「高松」とインプットされてしまった私は、どーしても「たかまつくん」と呼んでしまうのであった。本当は、山冠に松の字)
彼も4回転を跳ぶようになったんだなぁ。時の流れとは。シミジミ。

ジェフリー、『Take5』か、渋いっ。
男っぽくなったなー。こいつめ、なんて洒落たプログラムなんだ。

ゆんふぇい、すまない。ゾロが流れるとどうしても織田信成くんが滑り出してしまう身体(頭)になってしまった私を許して。

や、やまとくーーーん、よんかいてんがーーーー(T_T)。アクセルも転倒。うえん。


ぐるぐるぐる。
男子SP、めちゃくちゃ消耗する………………………。
覚悟はしていたつもりなんだけどね。
終わる頃にはクタクタだった。

えーと、1位がティムで2位がジェフリー、3位が……えと……誰だっけ。たかまつ? アプト? ジュベールくん?
こんなに順位を気にしないNHK杯って初めてかも。
それはそれで、余計なこと考えずに競技が観られるか……。競技でそんなの、寂しいけどな。仕方が無いもん。


フリーダンス。
奈加子さん&賢二くんは、『プリンス・オブ・エジプト』、数年前に奈加子さんとリナートが滑ったプログラムのリメイク版。

今日の二人を観て思った。
この決断、正しいかもしれない……。

今はまだ、二人でひとつの世界をつくるなんて領域には到達していないけれど(組んでほんの数か月だもの、当然だ)、昨日のODなんて「おれ、おれ!」「あたし、あたし!」「お願い、二人で一緒に滑ってよーー!(^^;」 そんな印象だったんだけれど(たは…)。
この組み合わせ、悪くないかも。日本に今まで居なかったタイプのカップルになれる可能性があるかも。

可愛く爽やかな、りえちゃんけんちゃんも好きだったし、外国人男性と組んで決して見劣りしない奈加子さんも美しかったが。
異質な組み合わせにも思えるこのカップルにあるかもしれない、新たな可能性を理屈ではなく感じ、この先、かなり楽しみになってきた。


のんちゃん&木戸さんは第二グループ。
楽しい『くるみ割り人形』、お二人にこんなどんぴしゃなプログラム、今まで私が観た中で最高じゃないかと。
昨シーズンのスイングシリーズもそうだけど、とにかく楽しくて明るい、無理が無くてナチュラルで、この雰囲気こそが彼らの個性だったんだよねと、改めて感じたもの。

くるみ割りのお話をなぞるんじゃなくて、ふたりともおもちゃのお人形なんだよっていう構成も新鮮でよかったな。
後半の失速を抑えることができると、もっと良くなると思うのが、ひとつ残念なところだけれど。
今季、けっこう期待しているのよ(^o^)


他、印象に残っているのは、ウィンクラー&ローゼの太陽と月の衣装、チャイト&サフノフスキーのピエロでサフさんがますます妖気漂う怪しさでかっ飛ばしていたこと(衣装のボンボンが落ちちゃったの、突然思い出した)、メーガンさんたちが最後の最後に二人で転んでしまったこと……。
散漫で断片しか残っていなくて、ごめんなさい。
逆に、残っているのは余程インパクトがあったんだろうなと……。ダンス、好きなんだけどね。今季はちょっと乗り切れない部分があるのは、なんでかな(除く、日本のカップル。こちらはますます興味深い!)。


女子フリー。
昨日のSPで首をひねりまくった部分、今日は解消されるだろうか。
トップはまたしてもキュリーさん。二日間とも第一滑走だなんて、クジ運がいいんだか悪いんだか。

第二滑走に由希奈ちゃん。
勢いは昨日よりあった。動きも昨日より良かったと思う。お手つきや回転不足もあったけど、今日のほうが由希奈ちゃんらしい。プログラムはSPのほうが私は好きなんだけどね。
彼女からは“日本”という空気が流れているような気がします。曲のテーマに関わらず、何故だか不思議と日本を感じる。

方丹ちゃん、今日は『アランフェス』ですか……。ことごとく武しゃんを思い出させてくれるのね(;_;)
アップテンポのアレンジバージョンだったのがまだ心の救いかと、私も勝手なことを言ってるなぁ。
たおやかな演技スタイルの割にジャンプが思い切り“かっつーーん”降りなので、ビクッとしてしまう箇所ところどころ。
それがスムーズになったらぐっと点が上がるんじゃないだろうか。彼女の持つ空気はとても好き。


濃い目のブルーグリーンのドレスの章枝ちゃんは、クラシックのド定番、モーツァルト。
そろそろまた『木星』みたいなきびきびしたプログラムをやってくれないかなーと思っている今日この頃。スポーティ路線、似合うと思うのよ。
だからこの曲も、前半のスローなパートより、終盤からフィニッシュへのアップテンポの部分が好き。
他の女子選手と比べてスピードはピカ一だし、ジャンプがひとつダブルになっただけで爽快な滑り、いいね!

恩ちゃんは深い碧と蒼の衣装。
『海』をテーマにしたというこの壮大なプログラムは、恩ちゃんに似合わない筈が無い、のに!
昨日のSPといい、なんとなく今季は“恩ちゃんの良さ”が削られてしまっているようで、観ていてちょっと辛く思えるシーンがあるのだ。
“芸術”はたった一種類じゃない、皆が似たようなバレリーナさんにならなくてもいいんだよ、恩ちゃんには恩ちゃんにしかない魅力があるんだから自信を持って、と言ってあげたい。

リアシェンコさん、本日も高得点。
苦手なジャンプは抜いて結構というシステムはちょっとね、と思うのでした。
点数は章枝ちゃんにわずか及ばず。

最終滑走はジェニー。
彼女の個性に、この音楽はいまいち合ってない気がするのだが。ジャンプが低くて回転不足気味なのが前から気になってたけど、今もあまり変わってないかも。
そういえば彼女も、四大陸チャンピオンだったっけ。


優勝、章枝ちゃん。
2位、リアシェンコ。
3位、恩ちゃん。

章枝ちゃん初優勝か! 真ん中に日の丸というのはやっぱりいいな。
表彰台での恩ちゃんの表情があまり明るくないのが気になった。
恩ちゃーん、自信持って、頑張ってよ。貴女が一番輝く方向性って、必ずあるのだから。


本日も郷土料理系のお店で夕御飯。
ともあれ、章枝ちゃん初優勝おめでとう。今年は男女アベックで台の真ん中、という夢を描いていた私たちです。
残念ながら、それはかなわぬこととなってしまったけれど。

やっぱりちょっとテンション低いな。
早く長野に行きたい。彼の演技に会いたい。当然ながらこの時点では全日本の欠場は決まっていない訳で。

新採点法についての考察から段々と話は他へ移っていき、しまいには。(これは初日の話題だったかナ? 記憶曖昧)

唐突ですが、競技本番での手袋はお好きですか?
そう、武史くんの今季の衣装が、両方手袋つきなんで、あれだけは何とかやめて貰えないものかという話を延々と(笑)。

「指先まで神経の行き届いた」と枕詞になるくらいのあの繊細な手の表情は、手袋があったら伝わり辛いよ。客席が黒っぽかったりしたら、よけい埋没して沈んでしまいそうだし。
個人の好みと言われてしまえばソレまでなんだけれども。

歴史に残る伝説のカメラワーク(と、一部武史ファンの間で言われている?)、ソルトレイクオリンピックの武史くんのフリー『アランフェス』。
フィニッシュで切なそうに顔の前から差し上げられる手に、自然とカメラがついていって手のアップで終わったあの場面。
あれはカメラマンの気持ちが入り込んで、気がついたら自然に手を追っていたのだと思えて仕方が無いのだけれど、もしあの手が手袋をしていたら!??
とてもあそこまでの余韻は残らなかったでしょう?

などなど、など。
プログラムのつくりだす世界によっては可な場合もあるだろうと思うけど、今季の武史くんのは、必然性は無いと思うんだよね、あの手袋。あれさえ無ければ……等々と、ひたすら語り続けてしまうのも、要は寂しいからなのだわ。
NHK杯で会えないなんて、今まで現実として考えたこと無かったんだもの。
状況次第で有り得る話だと、体感でわかっていなかった。

明日はいよいよ男子のフリー。
どうなっちゃうんだろ。結果も、自分自身の気持ちも。

とりあえず、美味しいラーメンは食べなきゃな。


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