12/25

世間一般ではクリスマスで、局地的にはあにさんの誕生日で10回目の結婚記念日で、だけど私は新横浜へと向かってしまうのであった。
以前にも似たようなことがあったような……。
この辺のスケジュールが再検討されないことには、何度もこういうことになってしまいそうで。
ごめんよぉ。

皆が泊まっているホテルのロビーで、昨日の結果やプロトコル等を読む。
TCSの内訳を見れば、はっきり違いが出てるんじゃん。(日ス連のページでは「TCS」と書かれているので、とりあえずそれで統一します)
やはり、エレメンツの取りこぼしは痛いのだ。

そして気になる滑走順はといえば。
最終グループ、南里−小塚−中庭−高橋−織田−本田。
なんともこれは……。怖いくらいだわ。
頑張れマリポサ兄弟。

花束を今日もふたつ、そして各自お昼ご飯の調達。
指定席なんだからのんびりどこかで食べてから開始直前に行ったっていいんだけれど、男子の公式練習が開場時間にかかっているんだもの。
滑走順が幸いして、曲かけも観られるかもしれないとあれば!
当日券の列を横目に、いそいそと並んで開場を待つ。今日は時間遅らさないでー!


入場すると、ちょうど大輔くんの曲かけが始まったところだった。
ギリギリセーフ。
武史くんはワルソー・コンチェルトの衣装をきっちりと着ている。
スッとしていい感じだわ。TVで見るよりずっとスマートでキュッとしてるんだよ〜。これは皆、同じことだけど。

女子はSPで男子がフリーと、時間の余裕が少しあるからかしら。
音楽は2分といわず、最後までフルでかかる。
半分流して半分入れる、そんな感じで進む練習。観ることが出来て良かった!
やっぱり安心できるもん。


女子ショートプログラム。
男子に備えて、のんびり観ていましょう、な気分だったのだが、そうはいかない。
トップはいきなり鈴木あっこちゃんから始まるし。音楽はなんと『ボレロ ファンタジー』。チャレンジャーだが、あっこちゃんなら有りかもしれない。

そして2番目は恩ちゃんだし。
って恩ちゃん、かっこいいーー!!
こうでなくっちゃ、こうでなくっちゃ!
ノーミス笑顔の恩ちゃんは、本当に清々しい。
爆発ガッツポーズじゃなくて、「やった……」って感じなのが、その気持ちがとっても伝わってきて。

第二グループのトップに章枝ちゃん。
ゾクゾクッとくるピンクパンサー。これまたミス無しで! 素晴らしくって!!
ラストポーズをそっち側から観たかった! 思わずスタンディングオベイションでした。
今日はジャッジと反対側。明日のジャッジ側席をあげるから、今日のそっち側と誰か代わってくれないかと、本気で思ったものです(笑)。
しかし結果的には、こちら側のこの位置で本当に良かったと思えることがあったのだから、これで良しだったんだ。


同グループに美姫ちゃん。
3ルッツ−3ループ鮮やか〜。後半のジャンプは微妙に根性系?
章枝ちゃんに次いで現在2位。

第三グループのトップに真央ちゃん(なんでこう、グループの頭にくるかね? 女子も男子も……)。
このプログラムは本当にいい。真央ちゃんにぴったり。

そしてすぐ続けてしーちゃん!(ひぇ〜)
黒地に赤の、新デザインの衣装が良く似合って美しい。
凄まじいまでのオーラと迫力を感じました。実は足が痛くてギリギリだったなんて。
迫真のノーミス演技で1位。

友加里ちゃん、かつての“勢い”が戻ってきた感じがする。
物怖じせず、がんがん突き進んでいくような。
コンビネーションに3アクセルを入れてくるところも! ウォームアップでは、確か決まっていたような!?

ジュニア時代から目を惹かれる存在だった曽根美樹ちゃん。
真っ赤なパンツスタイルで踊るわ魅せるわ、相変わらず素晴らしいっす!
ジャンプが決まらなくても、彼女は全国区に知らしめたい選手の一人だ。是非一度ご覧あれ。

椎名千里ちゃんに、全日本でまた会えたのが嬉しい。
変形スピンも健在で。
プロフィールを見れば、もうおねえさんの部に入るんだね…。

長谷部文ちゃん、ジャンプを全て落としてしまうとは!!
予想だにしなかった。小気味良いくらいの疾走感が私は大好きでした。
まさかフリーに進めないなんて……(T_T)

村主千香ちゃん。良かった!
ジャンプの前の前傾姿勢が、やっぱりまだちょっと気になるんだけれど、本当に上手くなったと思う。
衣装が、章枝ちゃんの昨シーズンEX(『浜辺の歌』)のと色違い、ふわりとしたピンク色。


終わってみれば上位陣、ミスらしいミスも目立たずそれぞれ良い出来で!
ううっっ、みんなして男前だぁ。

そんな選手たちの素晴らしい演技とは対照的に、どっちらけなのはテレビ局の演出ぶり。
キス&クライなんて、「そういう選手」の時だけにしか、ライトをつけなかったしね。
最初から誰を放送するつもりで作っているのか、よぉーーくわかっちゃいましたわ。
バックが光るとは知らなかったなー。昨日の男子なんて、暗ーいままだったしねー(放送用のカメラも動いてなかったしねー)。
昨年の、パイプ椅子のみってのよりはまだいいのかしらん?
他にもいろいろあるけどもう、いちいち気にするのやめよう。精神的に良くないだけだわ。

ちなみに、段差が無いままリンクサイドの低い位置にあるもので、反対側から見ていてもフェンスに隠れてしまって、キスクラでの選手たちの様子はほとんどわからないのでした。
残念〜。

そうそう、伊藤みどりちゃんが観に来ていました。
久しぶりに姿を見て、嬉しかったな。


オリジナルダンスの後、整氷無しで男子フリーへ。
第一グループの選手たちが氷に乗り、まず同一方向に走り出し、クルッと一斉にターンしたのが、まるで群舞のようでかっこよかった!
相談していようはずも無いのにこんなにバッチリタイミングが合うなんて、滅多に無いことではないか?
良いものを見た気分になる。乗ってくる。

第一滑走、小川貴夫くん。
新横所属でもあるためか、のっけから応援がものすごい! 一気に競技モードに入る。
そして3アクセル−2トウ! よしっ、男子シングルだ!

声援を力にする、とはこういうことではあるまいか?
確かにミスもあったけれど、爽快な出来。素晴らしいスタート。

後続選手も続く続く。応援合戦も負けていない。
各自、彼らなりの精一杯。それがアマチュア競技の醍醐味じゃないのかなぁ。

もうひとつ、「大学4年生」という意味を思う。
日本では、大学卒業と同時に、競技生活に終止符を打つ選手が多いでしょう。
そんな彼らの最後の試合が、全日本であったり、この後の国体であったり。
こんなことを改めて思うのは多分、私が競技を生で観始めてから、名前を知って顔を知って、だんだん馴染みが出てきた選手たちが、今その“最後”を飾ろうとしている時期にきているからかもしれない。
去年、一昨年と、少しずつ知った選手がいなくなっていって、もちろん新しい顔も登場してくるのだけれど、気がつくと武史くんが最年長になっているという現実。

観戦の諸先輩方からすれば今更なことかもしれないけれど、つくづくこの大会で感じ入ってしまったのだった。
演技終了後にガクガクになってしまうのは、必死に力を出し切ったからだと、クラブの後輩たちの声援を受けて、しっかり観せなくてはと渾身で戦ったからだと、私はそう思いたい。

事実、ミスで途中でガタガタになるイメージの強かった選手が、今日はそうならなかったもの。
諦めが見えちゃったと、ほとんど思わなかったもの。
こちらの気分にも、フィルターがかかっていたのかもしれないけどさ。
客観的に計ったならば、実はそうでもなかった可能性もあるのかもしれないけどさ。

昨日、ミスを連発した後、演技をやめてしまったかのような選手がいた。下位であろうが上位であろうが、私はそれが一番嫌い。
このフリーでは、そんなことが無ければいい。

第一グループ、第二グループ。
私は全く、飽きなかった。


第三グループ。
トップの一美くん頑張ったー! さすがに四分半が短くなってきた。
心臓がそろそろドキドキ言って来る。そのまま最終グループに突入。


ウォームアップがすごかった。
あっちでジャンプ、こっちでジャンプ。それ、本番にとっておかなくていいのか、と怖くなる。
スピードも違うよ…。
そんな波の中、武史くんを追う。悪くない。

スタートは南里くん。
調子、良く無さそう……。なんだか覇気が無いというか、全体に重たい感じ。腰が痛いという話も聞く。大丈夫か…。
しかし私が気になったのは、別のことで。うーーん。

SP1位通過の小塚くん。
今日はプレッシャーとの戦いもあるだろうか。技術とはまた別の次元での戦い。
それはまた、これから越えていかなければならない、仲良くしてもいかなくちゃいけない、大きな“もの”です。
頑張って。

中庭くん。
気合が入ってたー!
四回転を絶対に入れる。そんな執念。今季、男っぽさ倍増。
トップに立つ!

大輔くん。
スピードはあるんだけれど! そんな斜めになっては絶対に降りられないよう(T_T)
立て続けにジャンプ失敗、去年の姿が脳裏をよぎる。
切なくなりながら、一所懸命手拍子をしながら、考えていた。アランフェスで、彼は何を表現したいのだろう? まだ私には見えない…。


もうあと二人を残すのみ。まずは信成くん。
シニアバージョンは、スタート位置が違う。
最初の4トウは一種賭けみたいなものでしょう。言い方はあまり良くないけれど、ある意味、失敗前提のジャンプ。やっぱりひっかかってしまった。次の3−3−2はきれいに決める。

……シニアの全日本は実はもう、4回目なんだよね。
上を向いてきゅんきゅんリンクをかっ飛ばす様、よく覚えている。
それが今や、こんなプログラムをこなすようになったんだもんなぁ……。しかも最終グループで。

笛の音色ひとつになって、独創的なシットスピン。
曲調が一気に変わってストレートライン、あああ、疲れが目に見えてきた…。
本来はこの場面、スタートからもっと躍動的で、脚もヒュッと高く上がってかっこよかったんだけど!
出だしの4トウと、伸ばした30秒分、そのせいだけじゃないんだろうな。
ステップを踏み始めたところで一瞬よろけて焦る。そんなミス滅多にする子じゃないのに。やっぱり脚に来ているみたいだ。音楽にも少々遅れ気味、でも要所要所でアクセントをつけるポイントははずしてない。さすが。あーーーしんどそうだ、でも最後まで走ってくれー。

このプログラムは、緩急の付け方が素晴らしいと思う。静から動へ、動から静へ。
スパイラルのエッジを乗り換えてそのまま2アクセル。彼のスパイラル好きだー。
そして3ルッツ、よくぞ決めた! 後もう少し。

私はサーキュラーが始まって少ししたあたりに座っていたのだけれど。すぐ近くを通り過ぎるとき、一瞬目が合ったような気がして。思わず「頑張れ!」って。声には、もしかしたら出てなかったかもしれない、けど、眼から思いが迸るくらいの勢いで見つめていて。
そしたら、「うん」って!? え、頷いた??

妄想ここに極まれり。

最後の力を振り絞ってコンビネーションスピン。よほど辛いのか少し構成が違う、キャノンボールよく耐えてる。
そしてフィニッシュ!

だーーーーーーーっ疲れたっ!!
こっちも一緒に滑ってた……。疲れた。疲れたけど。
「なんか、最後のステップのとき……」恐る恐る話したら、揃って「うん、そう思った」って。そっか、みんな同じ気持ちだったんだー。
後で、少し上から見ていたfanfanさんに聞いてみると、「あれは頷いてた」って…。
たぶん、本人無意識で聞こえてないし見えてないんだけど、なんか反応したんだよって……うん、そういうことにしておこう。
すんごい自己満足だけど、最後の力にほんのちょっとでもなれたなら、それは応援者として最高の幸せだ。

全体の出来としては、全日本ジュニアのほうが、良かったんだけど。
シニアの大会でここまで鬼気迫る演技をしてくれた、それが嬉しくて。
武史くんを観ているときとは、また別の心持ちで、本当に、嬉しかったんだ。

渾身の滑りは、結果となって現れる。
中庭くんに続いて、2位! イコール、表彰台の確定。

そして最終滑走は。


本田武史さん。
貴方を、観に来ました。

ワルソー・コンチェルト。

滑り出したらやっぱり、違うよ……。
何て言うんだろう。大人の滑りとでも表現する?
4トウはステップアウトして。3アクセルも軸が斜めになって。もう一度アクセル、転倒までしちゃったけれど。

やっぱり、違うって。
スピードやスケーティングそのものの質は言うに及ばず。
積み上げてきたものの重みとか。表層ではわからない、深い深いものが、やっぱりあるって……。

序盤の失敗。しかしその先が底力。
美しい3フリップ。流れるようなエッジワーク。
最高の状態にはまだ足りないけれど。
資質と技術力、そして意地と粘りと、意志力と。はっきりと目標を希求する力と。
全てが絡み合って、生まれるもの。

やっぱり武史くんだよー。全然違うよ、感激だよ!
これで4トウか3アクセルか、どっちかひとつきれいに入っていたら、ホントに言うこと無かったんだけどね(はは…)。
そんな悔しさはあれど、充分です、今日はこれでも。

エンディングで感無量、お願い、誰か花束投げて! 今の私じゃ絶対入らない。
うるうるして前がよく見えません。

しばらくの間。電光掲示板に得点が表示され、アナウンスが入る。
59.84、70.52。199.86! 1位!!

後で聞いたら、誰かの下になるんじゃないかとか、そしたら私は大丈夫かとか(^^;、心配してくださった方々がいらっしゃいまして…。う、恐縮です。
ならばTV放送でもう一度観てくださいよーそしたらわかりますよと返答しましたら、なるほど納得したと言ってくれました。
そんなにその場で心配な演技だった……?? 確かにTESは僅差で三番だったけど、そんな心配は全然……。私、愛のフィルターかかり過ぎか?(や、自覚はありますが^^;)
でもTVを観た人は、皆やっぱり良かったと言ってくれるので、ホッとしてます(笑)。


後にTV放送で流れた、キス&クライのシーン。
前述の通り、私の座った位置からでは、様子を伺い知ることすら不可能で、その瞬間武史くんがどんな表情をしているのか、まったくわかりませんでした。
後から思えばおんなじように顔を覆って一瞬だけ泣いた後、万感の思いでガッツポーズをしていたのであります。
震えたわ……。
もしもモニターにキスクラの様子が映し出されていようものなら、それこそどうなってたかわかりません(^_^;


最終成績。

1位 本田武史 199.86
2位 中庭健介 191.39
4位 織田信成 185.64
3位 小塚崇彦 182.69
5位 岸本一美 174.96
6位 高橋大輔 173.67

そして表彰式。
大急ぎで表側に移る。
しかしこんな時ですら、真正面なんてとても陣取れない私。つくづくとこの性格は……。も、しゃあないわ。斜めからそっと見守りまして。
はーさん、その節はありがとでした^^

真っ先に呼ばれて出てきた武史くんは、1位の台に乗った後、屈んでぽんぽんっと台を両手で叩いていた。
戻ってきたよって。会いたかった、って?
その姿を観ていたら、胸はぎゅうっと詰まるし鼻はつんとするし、じわじわじわじわ、あやしいものがまた目から流れそうに。くぅ、よかったなぁ。ほんとに良かった。

2位は中庭健ちゃん。彼もまた嬉しそうで!
今季本当に頑張ってるもん。
はっ、もしかして2位は初めて? そうだったっけ! それすらなんだか不思議な気がする程、しっくりと表彰台が似合っていた。
よかったなぁ。ほんとに良かった。

3位。こちらは初々しい表彰台のナルくん。
なんか、笑顔だったり、泣きそうになるのを堪えている風に見えたり?
こちとら、マリポサ兄弟が揃って台に上ることを、ずっとイメージトレーニングしていたのだ(笑)。ちゃんと、お隣同士で!
それが現実になりました。よかったなぁ。ほんとに良かった。そればっかり。

優勝者には大きなカップ。武しゃん、お約束どおり、がーっと一気飲みするフリ。
そして、フジテレビ杯の授与。初めて見た(そりゃそーだ)。銀色の、ちょっとねじれたデザインの、細長いトロフィ。
ちゃんと3位の分まであって、大きさが違うの。
一昨年までのJNN杯は透明の直方体で、クリスタルなのか結構重いものだったけど、アレはどうなんだろな?

1位の台に皆で上がって記念撮影。
くるりと反対側を向いて、そちら側でも記念撮影。
後姿を見ていて……な。ナルくん………あ、あ、あ、脚長!!
何なんですか、その腰の位置の高さは……。

まだ体型は子供っぽいけれど、数年後はどんな風になるのかなー。
リンクの周回、そして必殺花束投げ!
全ての様子が嬉しくて楽しくて、もう誰に会ってもふわふわな返事しか出来なかったかもしれない(何か失礼をしてしまっていたら、本当にすみませんです…)。


今日の日を祝わずしてなんとする!
昨日より終了時間は遅いし、終電は平日より早いし、私だけは一時間一本勝負。だけど祝杯だもん。
時間と戦いながら、乾杯! ああ幸せ!
去年の悔しさ辛さが、一気に解消していく。なんて、幸せなんだろう…。

慌しく今日の一日を反芻して、またしても終電に飛び込む。
うーーっ、泊まりにすれば良かったかなぁ。そういう訳にはいかないんだよなぁ(^_^;


明日は女子とダンスとペアと。のんびりムードで参りましょう(でないと心身共にもたないよ)。


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