10/27 セント・ジョーンズ到着。 予想通り、かわいらしいサイズの空港。 そして、荷物が出てくるまで、カナダ流のおおらかさを身にしみて思い知る……。 受け取り口の表示はいつまで経っても前のが残っているわ、ターンテーブルが途中で止まって別のラインに変更になるわ……その間案内一切無し。 焦った自分はまだまだ頭が日本的な状態のままだったわ。 いやだって私、昔間違ったところから出てしまってすったもんだしたことあったんだってば(言い訳^^; ちなみにその事件は@香港の今は無き啓徳空港。空港の規模が違うか…)。 何とか無事に荷物を受け取り、タクシーでおよそ20分。 宿泊するホテルと会場はほぼ隣接、要するにココはオフィシャルデアリマス。う、どきどきどき……。 ダウンタウンの中に所謂ホテルらしいホテルは数えるほどしかなく、必然的にココになる確率も高かったんですよね。 私は筋金入りの方向音痴なので、大いに助かったことなのだけれど…(しかも、そんなに近くでありながら逆方向に行こうとした^^;)。 荷物だけ預けて、まずは予約済みのチケットを受け取るためにBox officeへ。 幸い、イベント入場口のすぐ脇に窓口があったので、すんなりと受け取れた……のだけれど。 渡されたチケットは二枚。 一枚に、“27, 28, 29 and 30”などと印字してありまして……。 それを持って入場しようとしたら、もぎりのおねえさんに思い切り訝しがられてしまった。 これしか持ってないの? とか。どこで買ったの? とか。 Just now、たった今そこの窓口で受け取ったの! えーん。 ヘンだわおかしいわ、ちょっと待っててとおねえさんはチケットを持って、偉い人に確認したり窓口に行ったりした後、「絶対に無くしちゃダメよ!」と念を押して、通してくれたのだった。 そうだよねぇ……。 いくらオールイベント・パッケージだからって、チケットは各日毎にそれぞれあるはずだよねぇ普通は……。 てか、今まであの窓口で予約受け取りをした人はいなかったのか?(そんなワケ無いだろう^^;) なんつーか、これもカナダ流おおらかさ? あの窓口おばさまは発券初体験だったのか? もう少々のことでは驚かないよ。 と言いつつ、この掟破りチケットちゃんには、まだまだ問題があったんでございます…。とほほ…。 場内通路には至る所にポスターが貼ってあり、しっかり武史くんの写真も載っているのよ! ナイス! 欲しい!(笑) そしてただいまリンク内では公式練習の真っ最中。しかも、男子ショートプログラム。 間に合わないかも、と思っていたけど時間が押したのか曲かけやってる間に入ることができて。武史くんは最終滑走だから…。 やったあ! ロミジュリの練習が観られる! 勢い込んで客席に滑り込む。 ああもう、どうしよう。心臓ばくばく。 稽古着のロミオは、出だしから感情入りまくりの切なさ全開。 ちょっとーーーどうしよう本当にーーーーー!!! 渾身の武史オーラ大爆発。 練習だってのに泣けて泣けて仕方が無かった。 こ、これを観られただけでも、来た甲斐があり過ぎる! 泣き笑いみたいに、客席で固まっておりました私たち。 すごいよ武史くん、ほんとすごい。 き、来て良かったああ……。 男子の練習の後は、どっと気力が抜けてしまい。 預けた荷物がロビーに放置状態だったのも気になって(さすがに奥に入ってました)、一旦ホテルに戻る。 フロントマダムは日本人の苗字の発音が見当つかなかったらしく、名前を確認されるのにアルファベットを並べて言われて、こっちも間違えそうになった^^; 「あなたは“エイチ・オー・エヌ・ディー・エー”ね?」って、こんな具合。 規定のチェックインの時間にはまだ早かったのだけれど、お部屋の準備ができたようで、早めに入れて貰えました。良かった。 部屋の窓からは映画のセットみたいな町並みが見えるのだけれど、生憎の雨でけぶり気味。 「雨が降ったら傘は役に立ちませんよ、防水で尚且つフード付きのジャケットがあるといい」と、明日お世話になる現地ツアー会社の人からアドバイスを貰っていたんだけれど、ハイ、字面通り、まったく、その通り! 「傘を差している人がいたら、あああれは他所の州の人だね、と町の人は解釈する」まさにその状態でありました。 こぬか雨が風で捲かれて酷いったら……。 だけど寒さはそれほどではなく、トロントのほうが余程寒かったような気がする。 東のほうは意外と穏やか、というのも当たっていそうだ。 試合開始にはまだ時間があるので、再びネット接続に挑戦。 ありがたいことにこの部屋は、テーブルにちゃんとジャックが来ておりました。 高速回線というにはちょっと? なところもあったけど、フリーだし、良しと致しましょう。 いそいそと掲示板に練習の様子を書き込む。良かったから嬉しくって。 オープニングセレモニーが始まる頃、再びリンクへ。 さっきのおねえさんがウインクしてくれた^^ 始まりますぜ! カナダ流セレモニーは、素晴らしくアッサリとしたものであった。 偉い人の挨拶があったあと、中央天井からぶら下がっているスクリーンに、過去の名場面集を映すだけ。 フラッグパレードも何も無いのね。 しかし名迷場面集はなかなかに面白かった。 この後何回も、競技の合間合間に流され、バージョン違いがいくつもあって、さしずめ「珍プレー好プレー」のスケート版? バックの歌に合わせて、上手く作ってあるのよー。これは、作成者がいろんな試合をしっかり見ていないとできない仕事だ。 コミカルだったりかっこよかったり、中でもコーチ特集はかなり笑えた……(タラソワさんミーシンさん出演率高し^^;) もちろん私たちは、武史くんが出てこないかと目を皿のように(笑)。ドンキホーテとアランフェスが中心で、出てくるたびに歓声をあげてしまったさ(^o^) ちなみに女子バージョンでは静香ちゃん章枝ちゃん恩ちゃんの採用率が高かった。特に静香ちゃんのトゥーランドット! やっぱりなぁ…。恩ちゃんのガッツポーズに章枝ちゃんのスピン。サーシャ・コーエンにミシェル・クワン。 男子では岳斗くんの“毛づくろい”シーンと、竹内くんの禿山の一夜がワンカット。思わず「おおーう」。ヤグさんプルさん。カナダ選手たくさん。 のんちゃん&木戸さんのくるみ割り人形も入ってたなー。日本選手が出てくるとやっぱり嬉しいもんです^^ その後、競技開始まで時間があったので、食べ物を仕入れに行く。 しかし売っているものが……一切れがやたらと大きいピザに、一人前とは思えない量のフレンチフライにチップスのナチョスソースがけ……長旅で疲れ気味の日本人の胃にはかなりヘビーなものばかり(^^; ベーグルもあったけどそれだけってのも……。うーん。参った。 まあ確かに、日本でも肉まんとか焼きそばとかね、似たようなものなんだけどさ。 食べなきゃ死ぬので適当に選んで席に戻る。 と、すぐ後ろの列に座っていたおばさま方が、「あなたたちの席は本当にここ?」と聞いてきた。 あ、はい、ここですけど……。え? 嫌な予感。 お互いにチケットを見せ合って………。 ハイ。 見事なダブルブッキング。 おーーーい勘弁してくれよーー。 彼女たちのもオールパッケージで、ちゃんと4枚に分かれている。こちらは一枚に4日分の印字。 ど、ど、ど、どうしよう!? しかしマダムの一人が、心配しないで、一緒に窓口に行きましょう、と言ってくれ、私もsumireさんのチケットを預かってとことことついていく。 通路を並んで歩きつつ、私たちが日本から今日着いたと言うと驚いて、「日本人の女の子を二人ホームステイさせたことがあるのよ〜」なんて気さくに話をしてくれた。 この方、エアロビクスのインストラクターだとか! 道理で、スリムでシャープな身体つき。大柄なカナディアンが多い中、時々見かけるほっそーい人とも違って、きりりと引き締まった感じだった。割とご年配の方だったのに、すごいなー。 さて、Box Officeにて。 窓口嬢は開口一番「隣のブースへ行って」って、そっち閉まってるじゃん! ジョークだったのね〜。もう、明るすぎるカナディアン。脱力。 マダムが全部交渉をやってくれて、さくさくと席を移ってくださった。か、感謝です……。 しかしその席の変更も、現チケットの一枚に赤ボールペンでびーーっと線をひいて新しい番号を書くだけ。 そんなんでいいんかい!(^^; 座席チェックも何も無いし、ま、いいんでしょう。もう、なんでも「おおらか」で許さざるを得ない心境になってるわ(笑)。 結局、最終日まで客席が全部埋まることは無く、カナディアンたちは勝手に席を移って好きな場所で観ていた…。 私たちも、会場係に「この席で楽しんでる? 前に行ってもいいわよー」と言われたぐらい。 結構後ろの列だったんだけど、前に行くとカナディアン大きいから見えなくなっちゃいそうなんだよね(^^; 写真を撮るにはちょっと後ろ過ぎたかもしれないけれど。 ちなみに、席のグレードの区別は無く、一番前だろうが一番後ろだろうが、お値段みーんな同じなんでありました。 オールイベントでも日本のほぼ一日分の料金でしかないんだよ!(しかも not アリーナ but スタンドSS相当) オープンな公式練習もこれで見られるし…。つくづく日本は高いっ! さて、コンパルソリー・ダンスの始まり。 課題はヤンキーポルカ。正直言って助かった……。 これがブルースか何かだったら、音楽が子守唄状態でガクンと寝入ってしまったかもしれないくらい、眠気がピークに。 日本じゃ寝てる時間だからね……。何故にこれでホテルで眠れないのか、まったく不思議でしょうがない。 出場は9組、意外と音楽が被ることも少なく、結構楽しんで観ることができた。 デンコワさんたちの棄権が残念だー。観たかったのにな。 デュブレイユ組、大人気。 続いてペアのショートプログラム。 詩子ちゃんはすっかりカナダ人に受け入れられている様子。 こっちに来て、良かったのだろうね。日本人としては、ちょっと寂しい気もするけれど。 雪ちゃんたちも出るはずだったんじゃなかったっけ、確か? ポスターに写真も載っていた。これまた残念なこと。 怪我、というのは人事ではない。 さてこれもカナダ流と言うのか言わないのか、わからないけれど競技と競技の間の休憩時間がやたらと長い。 男子ショートが午後9時開始というのにぶっ飛んだものだが、日本式のさくさく進行にしていたらこんな時間にはなっていないのだ。 スクリーンに例のVTRを流してくれるから、それなりに退屈せずには済むのだけれど。 その休憩時間中に、現在カナダ在住ではるばる応援に来てくれた、あさひさんにお会いしました。 (セント・ジョーンズは、カナダ国内からでも“はるばる”だい) ここぞとばかりに、日本から持参の武史小旗と日の丸小旗を手渡しまして。 武史くんの応援、というと、カナディアンの皆さんもけっこう乗り気でやってくれるのよ。なんて嬉しい…。 それなりの本数を持っていった武史小旗、最後には自分たちの分を除いてぜーんぶはけてしまいました(^o^) やったあ! 午後9時。 私たちにとって本日のメインイベント、男子ショートプログラム開始。 第一グループにはナルくんがおります。が……。 見るからにガッチガチ。 こんなに緊張が表に出ている姿は、初めて見るかもしれない。 おまけに直前の滑走が、地元カナダのソーヤーくんで………大歓声。 ちょっと、呑まれちゃったかなぁ。 3Aパンク。 これは先々へのよい経験というか、必ず通過しなければならない場面、のような気がした。 皆、そうやって大きくなったんだよ! デジャヴみたいだった。 そして、ささやかな再会を喜ぶ相手はマット・サボイ兄さん。どうして私、マットが妙に好きなんだろう? 不思議だ。 変わらぬ地味さ加減。でもさらさらときれいなエッジワーク。 第二グループ。ウォームアップ中、目の先には武史くんしかおりません! 4トウを一度も試みていないことから推測するに、今日は全部トリプルでいくのね。 それでよいです、まず、今日は。 このグループトップは大応援の中、ジェフリー・バトル。 『Sing, sing, sing』、ポーズをとってニヤリと笑った顔がスクリーンに大映し。こんのやろー!(笑) なんてなんて、憎ったらしいくらいにオシャレなプログラム(褒めてるの)。 細かく音を拾って拾って、彼の姿勢や腕の動きの癖まで上手にカバーして逆に生かして、雰囲気づくりに反転させてしまうのだから巧いったらありゃしない。振り付けの大勝利。 清々しさストレートな武史くんのバイオリン版『Sing〜』も大好きだけど、ジェフリーのはまた捻った角度からの粋な『Sing〜』だわねぇ。 競技全般にジャンプの男子的豪快さが影を潜めているのは、昨今の趨勢だから仕方が無いのか? ひとつそっち方面を頼みますよ! とお願いする気分だったのは民くん。 中国男子の意地に懸けて! しかしその、それ以前にその衣装は一体どなたの発案で!? そこはかとなく………カンタループ?(by岳斗くん) そりゃ、色使いは違うんだけど(ショッキングピンク+イエロー!)、縞々パンツにサスペンダーといい、つま先部分の色を変えた靴カバーといい、どうにもちらついて仕方が無いのだった。 なんとなく、振り付けもそれ風味に見えたのは、視覚からの思い込みかなぁ(^^; さて、果たして我々が正気でいられるか、最終滑走は武史くん。 周囲の方々に武史小旗をお願いしていたのだけれど、こちらが何も言わないうちから「Here we go〜」と、取り出して構えてくれたのがとっても嬉しかった。 ありがとうありがとう。 『ロミオとジュリエット』 スタートから、叙情さ加減は昼間の公式練習のほうがゲージが上だったと思う。 ひとつひとつのしぐさにグラグラ来るような、独特のエモーショナルさはやや薄めだったけれど、一つ一つ丁寧に、確かめながら滑っているよう。 3ルッツ−3トウ、そして3アクセル! 決まるたびの大歓声がなんと嬉しいことか。 みんな、みんな待ってたんだよね! 三つ目のジャンプ、3フリップはあまりに軽くて、「まさかダブッた!?」と取り越し苦労をしてしまった私でありました(^^; これこそ武史くんだよ。 万感の思い。 そんな言葉が浮かんできた。演技直後に立ち尽くす姿。 歓声が広がっていって、武史くんがお辞儀をする頃には前のほうの座席から次々と観客が立ち上がっていって。 うわーーーーーーーーーーーー。 スタンディングオベイションの大迫力。 ものすごいものを見た。山が盛り上がってくるみたい。これは後方の席でなければわからなかったんだな…。 ショートサイドや後ろのほうは、空席がたくさんあるのだけれど、中央ブロックに固まったカナディアンたち、ほぼ総立ち。 満足そうな嬉しそうな笑顔の武史くん。 嬉しくて嬉しくて、ぴょんぴょん飛び上がって日の丸と小旗を振る。 位置が遠くて高くて、氷上からは見えなかっただろうけれど……。 旗を振ってくれた同じ列の人たちも、良かったわね、すごく良かったわねと言ってくれた。 泣きそうになってるのも笑われた(あはは〜。いいんだもん!)。 これを観に、来たんだもん! スクリーンには演技のプレイバックとKiss & Cry。 笑顔の武史くんとダグ。 手渡されたぬいぐるみの中に混じっている武史フラッグを見て、お茶目な感じで顔の前でしゃかしゃか振ってくれた!! きゃーーーーーーっ。 場内には笑いが起きる。やったぁ!(笑) このシーンがTV放送で流れないかとわくわくしながら観ていたのですが。残念! 既に振り終わったところしか映らなかったわん。 めっちゃくちゃ嬉しかったですよ。チーム・タケシ、世界デビュー!?(笑。オーバーな) SPの順位が映し出され、武史くんは3位。 PCSが怪我する前の点に追いついていないのは、やっぱり4回転を美しく決めていた頃があるからなのかな…。 確かに、スケーティングだってまだまだこんなもんじゃないよっていう気分ではあるのだけれど。 だけどジャッジの皆さん思い出してね! 本田武史が帰ってきたよ! 足が地についてないんじゃないって風情でホテルに戻る。 一体全体、今何時よ? 街に繰り出していくカナディアンたちを見て(同じホテルに観客も大勢泊まっております)、元気すぎ、とぼそりとつぶやく。 道を一本向こう側へ行けば繁華街で、レストランやパブなんかが並んでいると言われていたけど、ちょっとこの時間に不案内な土地で、女二人で出歩く勇気は無い。 あ、セント・ジョーンズの治安はとっても良いそうです。こちらに基礎体力が無かっただけ…。 カナダは人種のモザイクとよく言われるけれど、トロントやハミルトンで確かにそれを肌で感じたけれど、ここセント・ジョーンズはまったく異質。 何しろ、ほぼ100パーセントに近いんじゃないのっていうくらい、欧州系というか、肌の白い人ばかりなのだ。 アイルランドからの移民が非常に多いっていうことからかしらん。 うちらなんてのは、一目瞭然外国人。歳は若く見られているのかなぁ?(笑) ネットに繋いで今日の報告。 英語圏の掲示板でも、「タケシがこんな復活をするなんて!」と、驚嘆と賞賛の書き込みが数多くあり、顔がゆるっとしてしまう。 嬉しいっ! ネット巡りをしながら、日本から持ってきたものを食べる。 sumireさんは既にベッドにダウン。大丈夫かな。 だけど眠れるのが羨ましい〜。今夜も私はばたばた苦しむ。 昼間あんなに眠かったのにーーーなんでよ!? 一般に、西より東に行くほうが身体には時差がきついと言うけれど、それを身をもって知りました(知りたくないよー)。 朝が追いかけてくるほうが辛いのね。夜に追いつく格好の、帰りはきっと平気だろう…。 そう言い聞かせないと、やってられない(^^; 選手たちってなんてすごいの。 |